氏名、住所、メールアドレス、支払い情報の入力など、決済手続きの項目や画面遷移が多いと、購入直前でのカゴ落ちを招きます。その解決策となるのが、ワンクリック購入です。導入することで、EC決済の入力や確認の手間を減らし、購入完了までの導線を短縮できます。特にスマートフォンでは、住所やカード情報の入力が負担になりやすく、短い操作で決済を終えられる設計は離脱対策となります。
この記事では、ワンクリック購入の概要やメリットに加え、Shopify(ショッピファイ)ストアへの導入方法を解説します。カゴ落ち率を改善したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

ワンクリック購入とは
ワンクリック購入とは、オンラインストアで商品を選んだあとに1回クリックするだけで購入を確定できる決済機能です。初回購入時に入力した氏名、メールアドレス、配送先住所、支払い情報などを、決済サービス側で安全に保存できます。2回目以降は情報が自動入力されるため、画面遷移や入力の手間といった購入の負担が軽減されます。
たとえば、子ども向けの商品やサービスを販売しているファミリアは、「Shop Pay(ショップペイ)」を利用してワンクリック購入機能を導入しています。カートボタンを押すと、すでに配送先や決済情報が入力された状態になり、ボタンひとつで注文が完了します。
ワンクリック購入の概念は1999年に登場し、Amazonが特許を取得しました。この特許により、Amazonは多額の利益を上げ、2000年にはAppleのiTunesストアに対してライセンス供与を行っています。
Forbes JAPAN(フォーブスジャパン)の報告によると、年間24億ドルの価値があると評価されたこの特許ですが、アメリカでは2017年に失効し、日本でも2018年に効力を失いました。現在では多くのECプラットフォームで、同等の機能が利用できるようになっています。
ワンクリック購入のメリット
コンバージョン率を高められる
ワンクリック購入を導入すれば、短時間で決済が完了するため、購入手続き中の離脱を防ぎ、コンバージョン率の改善につながります。
Shopifyの決済機能「Shop Pay」に関する調査(英語)では、ゲスト購入と比較してコンバージョン率が最大50%向上し、ほかの決済手段より少なくとも10%高いという結果が出ています。さらに、決済画面にShop Payが表示されているだけでも、購入に至る確率が5%高まる可能性があると報告されています。
また、2024年に552のECサイトを対象に実施された株式会社イー・エージェンシーの調査では、平均カゴ落ち率は約63.3%で、カゴ落ちによる機会損失額は売上の約2.7倍と報告されています。
購入者が以前に利用したことのある支払い方法でワンクリック購入できる環境を整えれば、入力や確認の負担が減り、購入に至る可能性が高くなります。
購入手続きをスムーズにできる
購入までの工程が短いほど、購入完了まで進みやすくなります。決済がスムーズだと、思い立ったときにそのまま購入しやすくなり、衝動買いが起きやすくなります。
顧客維持率を改善できる
ワンクリック購入は、決済の手間を省くことで顧客満足度を高め、顧客維持率の向上につながります。会員登録やログインを強いることは、顧客にとって障壁となりがちです。実際、Okta(オクタ)の消費者調査「Customer Identity Trends Report 2025」では、日本の消費者の17%が「サインアップやログインの問題でオンライン購入を断念したことがある」と回答しています。
スマホでの購入を増やせる
画面が小さく文字入力が負担になりがちなスマートフォンにおいて、複雑な操作を省けるワンクリック購入は、ユーザーの利便性を高め、購入を後押しする効果的な手段となります。
経済産業省の「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、物販系のBtoC-EC市場におけるスマートフォン経由の取引割合は61.7%と報告されています。
主要なワンクリック購入サービス
1. Shop Pay
Shop Payは、Shopifyペイメントを利用しているECサイトで利用できるワンクリック購入機能です。一度でもShop Payを使って購入した経験のある方であれば、まだ利用したことがないECサイトでも面倒な入力なしで決済できます。また、Shop PayはShopifyペイメントの決済手段のひとつであるため、導入にあたって追加で初期費用や月額利用料がかかることはありません。
2. PayPal
PayPal(ペイパル)は、PayPalアカウントに登録した情報を使って支払いを行う決済方法です。事前に登録されたカード情報や配送先情報が使用されるため、ユーザーは毎回アカウントにサインインする必要がありません。手間のかかるログイン操作を省略し、素早く決済を完了できます。
3. Stripe
世界最大級の決済プラットフォームであるStripe(ストライプ)の「Link(リンク)」機能を使えば、ユーザーはワンタップで決済を完了できます。クレジットカードやデビットカードの情報をStripeアカウントに一度保存するだけで、次回以降は入力の手間を省くことが可能です。ECサイトにStripeを導入すれば、スムーズな購入体験をユーザーに届けられます。
4. Apple Pay
Apple Pay(アップルペイ)は、Apple端末のウォレット決済です。購入者は端末側に保存した情報を利用できるため、決済での入力負担を減らせます。ShopifyペイメントでApple Payを有効にすれば、対応する環境で決済方法として表示されます。ShopifyストアでのApple Payの利用には、追加の初期費用や月額利用料はかかりません。
5. Google Pay
Google Pay(グーグルペイ)は、Googleアカウントに紐づく情報を使って支払いを完了できるウォレット決済です。Shopifyペイメントの設定画面から有効化でき、対応する環境ではクレジットカード情報や配送先住所の入力を省略できます。
ワンクリック購入をShopifyストアへ導入する方法
Shopifyでワンクリック購入を導入する代表的な方法が、Shop Payの有効化です。Shopifyペイメントを利用していれば、簡単な設定だけで導入できます。
Shop Payを有効にする手順は、下記のとおりです。
- Shopify管理画面で「設定」を開く
- 「決済」をクリックする
- 「Shopifyペイメント」セクションで「管理する」をクリックする
- 「Shop Pay」にチェックを入れる
- 「保存」をクリックする
これで、Shop Payを利用したワンクリック購入が有効になります。Shopifyペイメントを設定している場合、Apple PayやGoogle Payなどのウォレット決済も、ユーザーの利用環境にあわせて自動的に表示されます。
まとめ
ワンクリック購入は、決済時の煩わしい入力作業を省き、購入をスムーズにする仕組みです。現在は画面の小さなスマートフォンから購入する人が増えており、売上機会の損失を防ぐためにも、決済手続きの簡略化は特に重要です。ShopifyならShopifyペイメントを有効にするだけで、Shop PayやApple Pay、Google Payといった主要なワンクリック決済をすぐに導入できます。
また、これからネットショップを立ち上げようと考えている方は、Shop Payを導入しやすいShopifyがおすすめです。専門知識がなくても、テンプレートを活用してブランドの世界観を表現したネットショップを構築できます。無料体験も実施していますので、ぜひ一度試してみてください。
ワンクリック購入に関するよくある質問
ワンクリック購入とは?
ワンクリック購入とは、配送先や支払い情報をあらかじめ保存し、次回から最小限の操作で注文を完了できる機能です。面倒な入力や画面遷移を省けるため、購入者の負担を減らし、スムーズな決済を実現できます。
ワンクリック注文と通常の注文の違いは?
通常の注文では購入のたびに氏名、住所、カード情報の入力が必要ですが、ワンクリック注文では初回に保存した情報を呼び出して決済できます。入力に手間のかかるスマートフォンユーザーのカゴ落ちを防ぐうえで、ワンクリック注文は効果的です。
ワンクリック購入は安全?
カード情報は暗号化されて保護されるため、ワンクリック購入は安全です。また、カード情報は高度なセキュリティ基準(PCI DSS)に準拠した決済事業者が管理しているため、安心して利用できます。
Shopifyでワンクリック購入を設定するには?
Shopify管理画面の「設定」>「決済」>「Shopifyペイメント」で「管理する」をクリックし、「Shop Pay」にチェックを入れて「保存」することで設定できます。
ワンクリック購入に対応している決済方法は?
Shopifyペイメントを利用する場合、Shop Pay、Apple Pay、Google Payなどがワンクリック購入の決済サービスとして利用可能です。また、クレジットカードやデビットカードも使用できます。
文:Yukihiro Kawata





