AIチャットボットは、カスタマーサービスや商品案内の自動化、文章作成や情報収集などの業務サポートを、対話形式で行えるツールです。近年は生成AI技術が組み込まれ、あらかじめ登録した回答を提示するだけでなく、質問の意図や文脈を理解して自然な文章で回答できるツールも増えています。
企業がAIチャットボットを導入すれば、サポート対応の24時間化や業務負担の軽減、売上や顧客満足度の向上につながる可能性があります。一方で、AIツールによって得意な業務や対応チャネル、費用、日本語の識別精度は異なります。
本記事では、企業向けAIチャットボット9選を紹介するとともに、基本的な仕組みや導入メリット、選び方を分かりやすく解説します。

AIチャットボットとは
AIチャットボットとは、人工知能を活用し、利用者からの質問や指示に対して自動で回答する対話型のシステムです。
WebサイトやECサイトでユーザーへ問い合わせ対応や商品案内を行う接客窓口となるほか、社内ツールなどで情報検索や文章作成といった業務をサポートするアシスタントとしても利用されています。「あらかじめ設定された選択肢を選ぶ」という従来型のチャットボットよりも自然な会話ができ、質問の意図や文脈を踏まえて人間が対応しているかのように柔軟に回答できる点が特徴です。
AIチャットボットの仕組み
AIチャットボットは、利用者が入力した文章を自然言語処理によって分析します。入力内容に正確なキーワードが含まれていなくても、AIは前後の文脈から質問の意図や要望を推測することができますします。
回答は、あらかじめ登録されたFAQや社内ナレッジベース、商品情報といったコンテンツをもとに出力されます。あらかじめ設定された内容を検索して提示するだけではなく、過去の会話履歴や顧客情報を学習し、回答の精度を最適化していくことのできるAIもあります。また、返金可否の判断などAIが対応できない範囲の要望に対しては、人間のオペレーターへ引き継ぐことができます。
ビジネス向けAIチャットボットおすすめ9選
- Shopify Sidekick
- Shopify Inbox
- ChatGPT
- Microsoft Copilot
- Google Gemini
- Zendesk
- Intercom Fin
- HubSpot
- Helpfeel
1. Shopify Sidekick
Shopify Sidekick(ショッピファイ・サイドキック)は、ECプラットフォームであるShopifyの管理画面に組み込まれている、ECサイトの運営を対話形式で支援するAIチャットボットです。
日常的な言葉で指示することで、売上データの分析、レポートの作成、商品説明やマーケティングコンテンツの生成、割引の設定などのECサイト運営に関わる業務を支援します。Shopify専用に開発されているため、商品や注文、顧客、売上など、自社のShopifyストアデータに直接アクセスし、回答や提案を行える点が特徴です。
指示した変更は適用前に確認でき、スタッフごとに設定された管理権限の範囲内で動作します。日本語版の公式ページや管理画面も提供されており、日本国内のShopifyユーザーも利用できます。機能や利用上限は契約プランによって異なります。
こんなケースにおすすめ
Shopifyストアの分析や日常的な運営業務を効率化したい場合
料金
追加料金なし、Shopifyの利用料金に含まれる
2. Shopify Inbox
Shopify Inbox(ショッピファイ・インボックス)は、Shopifyストアにチャット機能を追加し、顧客とのやり取りを一元管理できる無料のメッセージツールです。
現在は英語のみの対応ですが、顧客からのメッセージに対して商品情報やFAQページに基づいて生成される、返信文の候補を提示する機能を備えています。また、注文状況の確認などには自動返信も可能で、顧客がサイトから離れた場合にはメールへ移行することができます。
このほか、スタッフによるチャット返信では、顧客が閲覧した商品やカートの内容、過去の注文などを確認しながら、商品リンクや画像、割引コードを送信できます。よくある質問への即時回答、あいさつ、連絡先の収集といった自動応答にも対応しており、問い合わせ対応の効率化と購入促進に役立ちます。
こんなケースにおすすめ
Shopifyストアで顧客対応を効率化し、チャット経由の購入を増やしたい場合
料金
無料、ただしShopifyの有料プランへの加入が必要
3. ChatGPT
ChatGPTは、OpenAIが提供する対話型の生成AIサービスです。
質問への回答や情報整理、文章の作成、要約、翻訳、アイデア出し、データ分析、画像生成、プログラミング支援など、幅広い業務に活用でき、会話の流れを踏まえて追加の指示に対応できる汎用性が特徴です。ただし、ECサイトなどに組み込む場合は別途アプリ等を利用する必要があります。企業向けのChatGPT Businessでは、メンバー管理や専用ワークスペース、社内ツールとの連携、管理者向け機能も利用可能です。
こんなケースにおすすめ
文章作成や情報収集をはじめ、幅広い業務をAIで効率化したい場合
料金
無料プランあり、BusinessとEnterpriseは有料で、Enterpriseは個別見積もり
4. Microsoft Copilot
Microsoft Copilot(マイクロソフト・コパイロット)は、Microsoftが提供する対話型の生成AIサービスです。質問への回答、文章の作成、要約、情報収集、画像生成などに利用できます。
企業向けのMicrosoft 365 Copilotでは、Word、Exce、PowerPoint、Outlook、TeamsといったOfficeツール群との連携も可能となっています。Microsoft 365に保存されたファイルや業務データを参照できるため、普段使用しているアプリ内からAIチャットボットを利用できる点が特徴です。
こんなケースにおすすめ
WordやExcel、Teamsなどを使った日常業務を効率化したい場合
料金
無料版あり、企業向けプランは契約内容によって料金が異なる
5. Google Gemini
Google Gemini(グーグル・ジェミニ)は、Googleが提供する対話型の生成AIサービスです。質問への回答、文章の作成、要約、アイデア出し、情報整理、画像生成など、幅広い業務に活用できます。
GmailやGoogleドキュメント、スプレッドシート、Google Meet(Googleミート)など、Google Workspace(ワークスペース)のサービス上でAIアシスタントとして直接呼び出すことができます。Google検索や各種Googleサービスとの連携に強く、日常的にGoogle Workspaceを利用する企業に適しています。
こんなケースにおすすめ
Google Workspaceを使った情報整理や資料作成を効率化したい場合
料金
無料版あり、有料プランは月額725円から、企業向けはGoogle Workspaceの契約内容によって異なる
6. Zendesk
Zendesk(ゼンデスク)は、顧客からの問い合わせを一元管理できるカスタマーサポートプラットフォームです。メールやチャット、電話、SNS、Webフォームなど、複数のチャネルから届く問い合わせを共通の画面で管理できます。
AIエージェントをサイト上に組み込むことで、FAQやナレッジベースをもとに顧客の質問へ自動で回答し、複雑な問い合わせのみを担当者へ引き継ぐことができます。問い合わせ内容の分類や要約、回答文の作成支援にも対応しており、サポート業務の効率化と顧客体験の向上に役立ちます。
こんなケースにおすすめ
複数の問い合わせ窓口をまとめ、顧客対応を効率化したい場合
料金
1ユーザーあたり月額55ドルから、AIの利用量によって追加料金がかかる場合あり
7. Intercom Fin
Intercom Fin(インターコム・フィン)は、カスタマーサポート業務を自動化するAIエージェントです。企業が登録したFAQやヘルプページ、社内ナレッジなど、既存のコンテンツから学習し、顧客からの質問に自然な文章で回答します。AIで解決できない複雑な問い合わせは担当者へ引き継ぐことができるため、一次対応を集約することができます。
Webサイトやアプリ、メールなど複数のチャネルで利用でき、対応した会話ログや解決状況を蓄積して問い合わせ傾向などを分析するのにも役立ちます。
こんなケースにおすすめ
問い合わせの一次対応を自動化し、サポート担当者の負担を減らしたい場合
料金
AIが解決した問い合わせ1件につき0.99ドル、利用方法によって別途プラン料金がかかる場合あり
8. HubSpot
HubSpot(ハブスポット)は、顧客情報の管理からマーケティング、営業、カスタマーサポートまでを一元化できるCRMプラットフォームです。
AIエージェント機能を備えており、問い合わせ対応、見込み客の情報収集、担当者への振り分け、ミーティング予約などを自動化できます。例えば顧客対応エージェントでは、Webサイトやナレッジベースの情報をもとに顧客からの質問へ自動で回答できるほか、それぞれの顧客との過去のやり取りや履歴を反映した対応も可能となっています。
こんなケースにおすすめ
顧客情報の管理と問い合わせ対応、マーケティングや営業を一元化したい場合
料金
無料ツールあり、有料プランは月額5,400円から
9. Helpfeel
Helpfeel(ヘルプフィール)は、ユーザーが抱える疑問の自己解決を促す、日本発のAI搭載FAQシステムです。
独自の「意図予測検索」により、入力された言葉がFAQの表現と完全に一致していなくても、言い換えや曖昧な表現、スペルミスなどから質問の意図を予測し、適切な回答へ案内します。
既存のFAQや社内資料、PDFなどを活用でき、AIによる回答生成やFAQ記事のドラフト作成、問い合わせデータの分析にも対応しています。導入時のページ構築やコンテンツ移行に加え、公開後の分析や改善提案も専門チームから受けられる点が特徴です。
こんなケースにおすすめ
日本語の問い合わせ対応を改善し、顧客の自己解決率を高めたい場合
料金
料金は個別見積もり、初期費用と月額費用が必要

ビジネスでAIチャットボットを活用するメリット
顧客対応の品質と顧客体験を向上できる
AIチャットボットを導入すると、営業時間外や問い合わせが集中する時間帯でも、顧客からの質問に迅速に回答できます。ECサイトで商品案内や配送状況の確認、返品方法などの質問に自動で回答できるため、顧客は長時間待つことなく、好きな時間に疑問を解消できるようになります。
また、担当者による回答や案内のばらつきを抑え、一定の品質を保ちやすくなります。AIで解決できない複雑な相談のみを担当者へ引き継げば、スタッフは個別対応が必要な顧客に時間をかけられます。
コンバージョン率や売上の向上につながる
AIチャットボットを導入すると、商品選びで迷っている顧客が、用途や予算、好みなどを入力することで適切な商品を見つけやすくなります。商品ページや購入手続きに関する疑問にもその場で回答できるため、情報不足や不安によるサイト離脱を防ぎ、購入までスムーズに進めてもらいやすくなります。
また、閲覧履歴や購入履歴などのデータをAIが取り込んで活用できるサービスでは、関連商品や上位商品を提案し、クロスセルやアップセルにつなげることも可能です。顧客一人ひとりに合った接客を自動化することで、コンバージョン率や客単価の向上が期待できます。
業務を効率化し、運用負荷を削減できる
AIチャットボットにより、繰り返し寄せられる質問への回答や、定型業務を自動化できます。
複数の顧客に同時対応できるため、問い合わせが集中する時間帯でも、対応スタッフを大幅に増やさずに運用できるようになります。また、コンテンツや回答文面の作成、データの整理と分析などの業務をサポートできるAIチャットボットもあります。こうしたAI活用により、生産性の向上に加え、人件費や教育費を含む運用コストの削減が期待できます。
多言語対応によって顧客層を拡大できる
多言語に対応したAIチャットボットを接客窓口として導入すれば、海外の顧客や日本語を母語としない利用者にも、それぞれの言語で案内できます。
商品情報や配送方法、返品条件などを自動で翻訳、回答できるため、言語ごとに対応スタッフを配置する負担を抑えながら、幅広い地域からの問い合わせに対応可能です。また、時差のある国や地域からの質問にも24時間対応でき、海外顧客が購入前に感じる不安や疑問を解消しやすくなります。
越境ECやインバウンド向けサービスでは、言語の壁を低くすることで新たな顧客層にアプローチできます。ただし、翻訳の精度は言語や専門分野によって異なるため、重要な案内は人による確認も必要です。

ビジネス向けAIチャットボットの選び方
- 導入目的と必要な機能を明確にする
- 導入後すぐに利用できるか確認する
- 費用や導入期間、必要なリソースを確認する
- データのプライバシーと所有権を確認する
- 既存のシステムやツールと連携できるか確認する
- 利用するチャネルに対応しているか確認する
- AIチャットボットの限界を理解する
導入目的と必要な機能を明確にする
AIチャットボットを選ぶ前に、問い合わせ対応の自動化、売上向上、社内業務の効率化など、導入目的を明確にしましょう。
目的によって必要な機能は異なります。顧客対応ならWebサイト上への組み込みや既存コンテンツとの連携、社内利用なら文書作成やデータ分析といった機能が重要です。解決したい課題と優先する機能を整理することで、自社に適したサービスを選びやすくなります。
導入後すぐに利用できるか確認する
AIチャットボットによって、利用開始までに必要な準備は異なります。
登録後すぐに使えるサービスもあれば、FAQや商品情報の学習とトレーニング、回答ルールの設定、社内システムとの連携といった準備が必要なものもあります。導入前に初期設定の難易度や必要な作業、専門知識の有無を確認しましょう。無料トライアルやデモを活用し、担当者だけで設定、運用できるか試すことも大切です。
費用や導入期間、必要なリソースを確認する
AIチャットボットの導入では、月額料金だけでなく、初期設定費用や追加機能、利用人数、問い合わせ件数に応じた従量課金も確認しましょう。
FAQの整備やシステム連携に時間がかかる場合もあるため、導入期間の見積もりも重要です。また、設定や回答内容の確認、運用後の改善を担当する人員が必要かも確認し、費用と社内リソースの両面から無理なく運用できるサービスを選びましょう。
データのプライバシーと所有権を確認する
AIチャットボットには、顧客情報や問い合わせ内容、社内文書などを入力する場合があります。個人情報の扱いには法的な規制も関係してくるため、導入前に入力データが利用される範囲や、どこに保存されるか、誰がアクセスできるかを確認しておく必要があります。
また、生成された回答や蓄積された会話データの所有権、退会後の削除方法も重要です。個人情報保護方針やセキュリティ認証、管理者権限の設定などを確認し、自社の基準に合うサービスを選ぶ必要があります。
既存のシステムやツールと連携できるか確認する
AIチャットボットを選ぶ際は、自社で利用しているCRMやECプラットフォーム、社内データベース、メール、チャットツールなどと連携できるか確認しましょう。
連携できれば、顧客情報や注文履歴を参照した回答、問い合わせ内容の自動記録、担当者への通知などが可能になります。APIや標準連携機能の有無に加え、設定に専門知識や追加費用が必要かも確認することが大切です。
利用するチャネルに対応しているか確認する
AIチャットボットが、自社で顧客対応に使っているチャネルへ導入できるか確認しましょう。
WebサイトやECサイト、スマートフォンアプリ、メール、LINEやSNSなど、サービスごとに対応できる範囲は異なります。複数チャネルを利用する場合は、問い合わせ履歴や顧客情報を一元管理できるかも重要です。将来的に利用チャネルを増やす可能性も考慮し、拡張性のあるサービスを選びましょう。
AIチャットボットの限界を理解する
AIチャットボットは、質問の意図を誤って解釈したり、事実と異なる回答を生成したりする場合があります。特に、個別判断が必要な相談や専門性の高い問い合わせ、苦情対応などを完全に任せるのは適切ではありません。
回答できない場合に担当者へ引き継ぐ仕組みを整え、内容を定期的に確認、改善しましょう。AIだけで完結させず、人による対応と組み合わせることが重要です。
まとめ
AIチャットボットは、顧客対応の自動化や商品提案、文章作成、情報整理など、さまざまな業務を支援できるツールです。
適切に導入すれば、顧客体験や売上の向上、業務効率化、運用コストの削減、多言語での対応などの効果が期待できます。一方で、サービスごとに得意分野や料金、対応チャネル、外部ツールとの連携、日本語対応の範囲は異なります。まずは自社が解決したい課題と必要な機能を整理し、無料プランやトライアルを活用して使いやすさを確認しましょう。
また、誤った回答や情報漏えいのリスクも踏まえ、重要な判断や複雑な問い合わせは人が確認、対応できる体制を整えることが大切です。
AIチャットボットに関するよくある質問
AIチャットボットは無料で利用できる?
無料プランを提供しているサービスもあります。ただし、利用回数や機能、連携できるツールなどに制限が設けられている場合があります。企業で本格的に利用する場合は、管理機能やセキュリティ、サポート体制が充実した有料プランも比較しましょう。
AIチャットボットは日本語で利用できる?
多くの主要サービスは日本語での入力や回答に対応しています。ただし、管理画面や公式サポート、一部のAI機能が英語のみの場合もあります。導入前に、日本語の回答精度だけでなく、設定画面やヘルプも日本語に対応しているか確認することが大切です。
AIチャットボットは専門知識がなくても導入できる?
登録後すぐに利用できるサービスや、画面上の操作だけで設定できるサービスであれば、専門知識がなくても導入できます。一方、社内システムとの連携や独自のチャットボット開発には、APIやプログラミングの知識が必要になる場合があります。




