AIは、買い物客が商品を調べ、選択肢を比較し、購入を判断するまでのプロセスを変えつつあります。
たとえば、検索結果ページをスクロールして自分で複数のサイトを見て回る代わりに、「こういう用途で使いたい」「この条件に合う商品を探している」とAIアシスタントに伝え、候補探しや比較を任せる買い物客が増えています。
一方で、オーガニック検索はいまもコマースにおける最大級の商品発見チャネルです。
これは、AI検索が伸びるぶんオーガニック検索が減る、という単純なゼロサムの変化ではありません。実際には、どちらの利用も伸びています。Shopifyのデータから見えてくるのは、どちらか一方への置き換えではなく、商品を見つける入口そのものが分散し始めているという変化です。
その変化が購買行動にどう影響しているのかを示す初期シグナルが見え始めています
Shopifyのデータから見えた3つの初期シグナル
第一弾のAI Search Insights記事では、AI検索経由の買い物客が、オーガニック検索経由の買い物客とは異なる行動を取ることが分かりました。
AI検索経由のユーザーは、商品詳細ページ、つまりPDPに直接訪れる割合が高く、コンバージョン率や平均注文金額も高い傾向があります。これは「購買ジャーニーの圧縮」と呼ばれるパターンです。AI検索では、商品の発見と比較検討がひとつの会話の中で進みます。その結果、購入意向の高いユーザーが、より短いステップで商品ページに到達します。
この傾向は、今年トラッキングを開始して以来、一貫して見られています。そこで次に生まれた問いが、「買い物客はどのようなときにAI検索を使い、どのようなときにオーガニック検索を使うのか」でした。
Shopifyの第2四半期のコマースデータから見えてきたのは、買い物客が検索を通じて何をしようとしているのか、つまり検索の目的の違いです。
主な初期シグナルは、次の3つです。
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AI検索とオーガニック検索はどちらも成長している。
ShopifyストアフロントへのAI検索経由のセッションは、前年比で197%増加しました。一方、オーガニック検索も、はるかに大きな母数の上で12%増加しています。 -
AI検索は幅広いカテゴリで伸びており、特に比較検討に時間がかかる購買で大きな影響を与えている。
仕様や条件が購入判断を左右するカテゴリでは、AI検索経由の買い物客は、オーガニック検索経由の買い物客と比べて約2倍の割合で購入に至っています。 -
同じ最適化が、AI検索とオーガニック検索の両方に効果を持つ。
AIが構造化されたShopify Catalogの商品データを参照した場合、そのAI検索から訪れた買い物客のコンバージョン率は、スクレイピングされたデータやサードパーティフィードをもとにした場合の約2倍でした。
これらはまだ初期シグナルであり、AI検索とオーガニック検索のどちらも急速に進化しています。それでも現時点で見えているのは、買い物客が両者をそれぞれの得意領域に応じて使い分けているということです。
今後、AI検索とオーガニック検索の機能が進化すれば、どちらもさらに幅広いユースケースや購買ジャーニーを支えるようになるでしょう。
検索は置き換わるのではなく、より多くの場所に広がっている
AI検索については、「AIが従来の検索を置き換える」という見方もあれば、「AI検索はまだ規模が小さすぎて、今は気にする必要がない」という見方もあります。ですが、実際には、もう少し複雑です。Shopifyのデータから見えてくる実態は、そのどちらかに単純に分けられるものではありません。
AI検索は、絶対的な規模で見るとまだ初期段階にあります。しかし、その利用は急速に広がっています。一方で、オーガニック検索は今もはるかに大きな流入元であり、セッション数自体も増え続けています。
つまり、買い物客がどちらか一方の検索チャネルをやめて別のチャネルへ移っている、という話ではありません。商品を見つけるための入口が増え、検索全体の利用がより分散し広がっているのです。
データもこの見方を裏づけています。第2四半期、ShopifyストアフロントへのAI検索経由のセッションは前年比197%、つまりおよそ3倍に増加しました。注文数も3倍に伸びています。この成長は、私たちが追跡しているほぼすべての商品カテゴリで見られました。リサーチや比較検討だけでなく、購入に至るプロセスの中でもAIを活用する買い物客が増えていることが分かります。
同じ期間に、オーガニック検索経由のセッションも、はるかに大きな母数の上で12%増加しました。さらに、オーガニック検索は、追跡対象となっているすべてのAIプラットフォームを合計したよりも多くのセッションをShopifyマーチャントにもたらしています。
図:AI検索経由とオーガニック検索経由のセッション前年比成長率、2026年第2四半期
AI検索は、その成長スピードの速さから重要性を増しています。一方で、オーガニック検索は、その規模の大きさから引き続き不可欠なチャネルです。マーチャントに求められるのは、どちらか一方を選ぶことではなく、両方を前提に商品発見の設計を進めることです。
買うものによって、検索チャネルは使い分けられている
Shopifyのデータからは、買い物客が目的に応じて検索チャネルを使い分けていることを示唆しています。
実際の検索クエリが分からなくても、どのような商品を買おうとしているかを見ることで、購入前にどのような比較や判断が必要だったのかをある程度読み取ることができます。
特にAI検索は、購入前の比較検討が多く発生する買い物と相性がよいようです。AI検索経由の買い物客が商品ページに到達した場合、そのコンバージョン率はオーガニック検索経由の買い物客よりも約80%高くなりました。
さらに詳しく見ると、この差は、購入前に仕様、互換性、用途、レビュー、選択肢ごとのメリット・デメリットを比較しやすいカテゴリで最も大きく表れています。そうしたカテゴリでは、AI検索経由の買い物客のコンバージョン率は、オーガニック検索経由のおよそ2倍でした。
これは直感的にも理解できます。特定の条件に合う商品を見極めたいとき、AIは候補を整理し、違いを比較し、判断材料を提示する役割を果たしやすいからです。
一方で、すでにブランドや商品、スタイルのイメージがあり、自分で見ながら選びたいカテゴリでは、オーガニック検索が今も商品発見やブラウジングを広く支えています。
ただし、こうした嗜好や感性が重視されるカテゴリでも、AI検索が存在感を示している領域があります。それが新規顧客の獲得です。AI検索は、オーガニック検索の約1.3倍の割合で純新規顧客をもたらしました。
買い物客は、候補リストを作ったり、商品が自分のニーズに合うかを確認するうえで、必ずしもAIに任せたいわけではないかもしれません。それでも、自分だけでは見つけられなかったブランドや商品に出会うために、AI検索を使っているようです。
また、大まかなカテゴリ名だけで見ると、重要な違いを見落とすことがあります。分かりやすい例がアパレルです。Tシャツと腕時計は同じ親カテゴリに含まれますが、購入前に必要なリサーチの量は大きく異なります。
アパレル全体では、AI検索経由のコンバージョン率はオーガニック検索経由より約1.6倍高くなっています。しかし、仕様や条件を比較されやすいサブカテゴリでは、その差がさらに広がります。たとえば腕時計では、AI検索経由トラフィックのコンバージョン率が約2.4倍、ネックレスでは約2.3倍高くなっています。
カテゴリ単位の分析は、全体の傾向をつかむうえで役立ちます。ただし、あるカテゴリが単純に「AI検索向き」か「AI検索向きではない」かを決めるものではありません。
現時点で見えているのは、特定の条件に照らして比較検討する必要がある買い物において、AI検索の強みが特に発揮されているということです。今後、AIプラットフォームがより豊かなビジュアル体験を備え、好みやフィット感のような主観的なショッピング要素にも強くなれば、AI検索の利用はさらに多くの購買プロセスへ広がっていくでしょう。
AI検索とオーガニック検索には、同じ最適化が効く
多くのマーチャントは、こう考えるかもしれません。
「AI検索は急成長しているとはいえ、まだ規模は小さい。オーガニック検索の方がはるかに多くのセッションを生んでいるなら、なぜ今AI検索に取り組む必要があるのか」
その答えはシンプルです。AIに商品を見つけてもらいやすくする取り組みは、オーガニック検索で商品を見つけてもらいやすくする取り組みでもあるからです。
Googleの公式ガイダンスでも、AI OverviewsやAI ModeといったAI体験は、従来の検索と同じ中核的な品質・ランキングシステムを基盤にしていると説明されています。つまり、AIが理解しやすい商品情報を整えることは、オーガニック検索で商品を発見してもらううえでも役立ちます。
そして、商品データをどう構造化するかは、想像以上に重要です。
AI検索が商品を見つけておすすめする際に、構造化されたShopify Catalogの商品データを参照した場合、そのAI検索経由で訪れた買い物客のコンバージョン率は、スクレイピングされたデータやサードパーティの商品フィードに依存したAI検索経由の買い物客と比べて約2倍高くなりました。
言い換えると、AIが整理された構造化商品データを参照できるセッションでは、コンバージョン率が明確に高くなっていたということです。
図:構造化されたShopify Catalogデータを参照したAI検索経由の買い物客は、スクレイピングされたデータやサードパーティフィードを参照した場合に比べて、コンバージョン率が約2倍高かった。2026年第2四半期
急成長する新しいチャネルに向けて商品カタログを最適化することは、同時に、現在もっとも大きく確立された流入チャネルで商品を見つけてもらうための基礎を強化することでもあります。
だからこそ、AI検索への最適化は賢い投資です。これからに備える取り組みであると同時に、今すでに成果を生んでいるオーガニック検索の強化にもつながります。
マーチャントが今取り組むべきこと
AI検索とオーガニック検索に対して、まったく別々の最適化戦略を用意する必要はありません。むしろ、両方に効く共通のロードマップとして考えることができます。
商品情報を整理し、分かりやすく、信頼できる形で届けること。これは、AI検索でもオーガニック検索でも、商品を見つけてもらい、理解してもらい、購入につなげるための土台になります。
AI検索の登場によって、商品カタログの充実や構造化といった、マーチャントが以前から取り組むべきだった施策の重要性はさらに高まっています。そこで役立つのがShopify Catalogです。
Shopify Catalogは、商品データを充実させ、AIシステムにも従来の検索エンジンにも読み取りやすい状態に整えるためのツールを提供します。
以下では、AI検索とオーガニック検索の両方で商品を発見されやすくするために、ストアフロントで取り組める効果の高いアクションを紹介します。より詳しい技術的な手順については、GEOガイドと、エージェント対応の商品データに関するガイドをご覧ください。
買い物客の言葉を、商品属性に反映する
買い物客は、AIに自然な言葉で質問します。そのため、AI検索で使われるクエリは、従来の検索より長く、具体的で、複数の条件を含むことが多くなります。
そのため、商品情報には、マーチャントがSKUをどのように分類しているかだけでなく、買い物客が自分のニーズをどのような言葉で表現しているかも反映する必要があります。
Shopifyで販売している場合は、管理画面のAgenticセクションで、自社カテゴリにおける上位のAI検索クエリと、それに対して自社商品がどのように表示されているかを確認できます。買い物客が実際に使っている言葉を、素早く把握できる場所です。
次に、その言葉を構造化された商品データに落とし込みます。Shopifyの商品タクソノミーとメタフィールドを使えば、商品の詳細情報を個別の機械可読フィールドとして記録できます。
こうして整理された商品データは、単一の情報源として、ストアフロントの絞り込み、オーガニック検索、AIシステムによる商品の理解に活用できます。
Google Search Consoleでは、買い物客がすでに使っている質問や修飾語を確認できます。さらに、Google Adsの検索クエリレポート、サイト内検索、チャット履歴も組み合わせることで、繰り返し現れるニーズ、条件、比較ポイントを見つけやすくなります。
優先すべきなのは、買い物客が選択肢を絞り込むときに使う情報です。たとえば、対象者、用途、互換性、サイズ感、素材、「〜に最適」といった利用シーンです。
Google Merchant Centerを利用しているマーチャントは、会話型属性の活用も検討できます。商品情報により多くのニュアンスを加えることで、買い物客、オーガニック検索エンジン、AIシステムのいずれにとっても、商品を理解しやすく、おすすめしやすい状態をつくることができます。
購入意向の高い訪問者に向けてPDPを整える
第2四半期には、AI検索経由のセッションの50%は商品ページに直接到達していました。こうした訪問者にとって、ブランドとの最初の接点は、オーガニック検索から訪れる人よりも購買ファネルの後半にあります。つまり、すでに高い購入意向を持った状態で商品ページを訪れているということです。
この点において、Shopifyのストアフロントはすでに多くの要素をカバーしています。Shopifyテーマは高速に読み込まれ、AIシステムや検索エンジンが読み取れる構造化商品データを公開します。チェックアウトも、購入準備のできた訪問者をスムーズに受け止められるように構築されています。
そのうえで、マーチャントが特に整えるべきなのが、ページ内のコンテンツです。
この前提で、PDPを見直してみてください。優れた商品ページは、その商品が訪問者のニーズに合っていることを確認できる場であり、商品の内容を分かりやすく説明し、信頼につながる情報を提示し、購入しやすい状態をつくる場でもあります。
明確な商品説明、仕様、用途、互換性に関する詳細、レビュー、配送・返品情報、FAQ、比較しやすい情報を含めることが重要です。
すでに一定の検討を終えて訪れた人に対して、PDPは来訪前のリサーチ内容を確認し、購入を後押しする役割を果たす必要があります。
顧客レビューを集め、商品ページに表示する
顧客レビューは、購入前の検討において最も役立つコンテンツの一つです。まだレビューを集めていない場合は、まず収集を始めましょう。星評価、テキストレビュー、写真付きレビューを集め、商品ページに表示しやすくするツールやShopifyアプリは数多くあります。
レビューは、買い物客だけでなく、検索システムやAIシステムが商品を理解し、信頼性を判断するための手がかりにもなります。実際の購入者が商品を評価し、使用感を説明することで、検索システムやAIシステムは、その商品を関連性が高く、おすすめする価値のある商品として判断しやすくなります。
あわせて、レビューの構造化データも設定しておきましょう。Google検索でクチコミ抜粋の対象になりやすくなり、検索結果上でも商品の信頼性を伝えやすくなります。
AI検索とオーガニック検索を並べて測定する
Shopifyで販売している場合、AI検索を測定するための環境はすでに用意されています。
まず管理画面のAgenticセクションを確認してください。ここでは、ChatGPT、Copilot、Google、ShopにまたがるAIチャネルの売上、セッション、注文、コンバージョンを一つのビューで確認できます。さらに、自社カテゴリにおける上位のAI検索クエリと、それに対して自社商品がどのように表示されているかも確認できます。
AI検索とオーガニック検索を直接比較したい場合や、平均注文金額、セッションあたり収益といったより詳しい指標を見たい場合は、分析レポートを開き、参照元別のパフォーマンスを確認してください。AI検索経由の訪問者を単独で見るのではなく、オーガニック検索と並べて比較できます。
Shopify以外の分析環境を使っている場合は、まず利用している分析プラットフォームに、AIチャネルまたはエージェント型チャネルのグルーピングが用意されているかを確認してください。
用意されていない場合は、ChatGPT、Copilot、Perplexity、Gemini、Claudeからのトラフィックをまとめるカスタムグルーピングを作成できます。
ただし、Google AI Overviewsのような接点は、オーガニック検索としてカウントされることが多くあります。そのため、AI検索経由として見えている数値は、実際の影響よりも少なく表示されている可能性が高い点に注意が必要です。
商品発見は、より分散した時代へ
市場では、AI検索がオーガニック検索を置き換えつつあるかのように語られることがあります。しかし、Shopifyのデータから見えてくるのは、もう少し違う現実です。
AIは、買い物客が商品を見つけ、比較し、購入を判断する方法を変え始めています。ただし、その成長はオーガニック検索の縮小を意味するものではありません。AI検索とオーガニック検索は並行して伸びており、AI検索の影響は特に、比較検討や条件整理が必要な購買ジャーニーで強く表れています。
つまり、買い物客が商品を見つけ、購入に至る入口が増えているということです。そして、その行動は、AIツールや検索体験の進化とともに今後も変化し続けるでしょう。
マーチャントにとって重要なのは、AI検索かオーガニック検索かを選ぶことではありません。オーガニック検索は今も大きな流入を生む重要なチャネルです。一方でAI検索は、購入意向の高いトラフィックをもたらす新しいチャネルとして、存在感を急速に高めています。
さらに、AI検索で商品を見つけてもらいやすくするためのカタログ強化は、オーガニック検索で商品を見つけてもらうためにも役立ちます。どちらか一方だけに最適化する必要はありません。
進むべき道は明確です。両方に最適化することです。
検索と商品発見の入口は、ますます分散しています。これから成果を上げやすいのは、購買ジャーニーがどこから始まっても、商品が見つかりやすく、理解されやすく、信頼されやすく、購入されやすい状態を整えているマーチャントです。
Shopifyは、その新しい現実に対応するための基盤を、マーチャントに提供しています。




