eコマースプラットフォームの表示速度は、ECサイトの操作性やユーザーの購買行動に大きな影響を与えます。GoogleのデータをもとにしたSemrush(セムラッシュ)のレポート(英語)によると、ページの読み込み時間が1秒の場合と比べて、3秒ではユーザーが離脱する可能性が32%、5秒では90%高まるとされています。
ECサイトでは、商品ページから決済画面までスムーズに表示されることで、快適な購入体験につながり、購入完了まで進みやすくなります。わずか0.5秒の速度改善でも、コンバージョン率の向上につながることが示されています。
この記事では、主要なECプラットフォームの速度比較を通じて、高速なプラットフォームがビジネスにもたらす効果を解説します。

主要なeコマースプラットフォームの速度比較
速度測定の結果、Shopify(ショッピファイ)は、以下の3つの主要なeコマースプラットフォームと比較して、高いスコアを示しました。今回の調査対象では、Shopifyが最速のeコマースプラットフォームといえます。
測定対象
- Agentforce(エージェントフォース)コマース(旧Commerce Cloud)
- Adobe Commerce(アドビコマース)
- WooCommerce(ウーコマース)
測定方法
調査では、Googleが公開するデータから、20万以上のサイトを無作為に抽出し、主要なeコマースプラットフォームを対象に分析しました。
速度比較には、次の2つの指標を使用しています。
- TTFB(Time to First Byte):サーバーが最初のデータを返すまでの時間を指します。0.8秒以下が適切とされています。
- FCP(First Contentful Paint):文字や画像など、最初のコンテンツが表示されるまでの時間を指します。1.8秒以下の場合は「高速」と判定されます。
ウェブサイトの読み込み速度を測る指標には、ページ内の最も大きなコンテンツが表示されるまでの時間を示すLCP(Largest Contentful Paint)もあります。ただし、LCPは、使用しているテーマや画像、サードパーティ製のプラグインなど、プラットフォーム以外の要因にも大きく左右されます。そのため、この調査では、eコマースプラットフォームの基本的な性能を比較しやすいTTFBとFCPを採用しています。
測定結果
Shopify VS Agentforceコマース(旧Commerce Cloud)
- Shopifyストアは、Agentforceコマースのストアより平均1.5倍高速
- FCP(サイト表示速度)が「高速」と判定されたストアの割合は、Shopifyストアが93%、Agentforceコマースが65%
- ShopifyストアのTTFB(サーバー応答速度)は、Agentforceコマースのストアより2.2倍高速
Shopify VS Adobe Commerce
- Shopifyストアは、Adobe Commerceのストアより平均2倍高速
- FCPが「高速」と判定されたストアの割合は、Shopifyストアが93%、Adobe Commerceのストアが53%
- ShopifyのTTFBは、Adobe Commerceのストアより3.4倍高速
Shopify VS WooCommerce
- Shopifyストアは、WooCommerceのストアより平均2.4倍高速
- FCPが「高速」と判定されたストアの割合は、Shopifyストアが93%、WooCommerceのストアが34%
- ShopifyストアのTTFBは、WooCommerceのストアより3.9倍高速

高速なeコマースプラットフォームを使用するメリット
ユーザーの離脱を抑えやすい
高速なeコマースプラットフォームを利用すると、ECサイトの表示速度を安定して保ちやすくなり、ユーザーはストレスなく操作できます。商品ページや決済画面の読み込みが遅い場合、ユーザーは閲覧や購入を中断し、ほかのサイトへ移動する可能性があります。
コンバージョン率の向上につながる
商品ページの表示スピードが速いと、ユーザーが商品情報を確認し、カートに追加するまでの流れがスムーズになり、カート投入率の改善が期待できます。さらに、決済までの操作性が高まることで、カートに商品を入れたまま購入を完了せずに離脱する「カゴ落ち」を防ぎやすくなり、コンバージョン率の向上にもつながります。
デザインや機能を過度に制限せずに済む
十分な処理性能を備えたプラットフォームであれば、高画質な商品画像や必要な機能を一律に削ることなく、表示速度とのバランスを取りやすくなります。ブランドアイデンティティを保ったサイトデザインと、利便性を両立させ、顧客に快適な購入体験を提供できます。
またBtoB ECでは、顧客ごとの価格設定や再注文、承認フローなど、複数の機能に加えて、企業ごとに異なる取引条件への対応が必要になることがあります。高速なBtoB ECプラットフォームを利用することで、こうした機能や取引条件に対応しながら、法人顧客が快適に商品を検索し、注文できる環境を整えられます。
高速化にかかる開発と運用の負担を抑えられる
サイトを高速に保つには、サーバーの構築や保守、アクセス増加への対応、継続的なパフォーマンス改善が必要です。また、これらを担う専門人材の確保にもコストがかかります。
高速な基盤を備え、ホスティングやサーバー管理を担うeコマースプラットフォームを利用すれば、自社でインフラを構築して管理する必要がなくなり、開発チームの負担やパフォーマンス維持のコストを抑えやすくなります。

Shopifyへの移行でサイト速度が44%改善した事例
スキンケアブランドのダーマロジカの事例(英語)では、当初、Salesforce(セールスフォース)のCommerce Cloud(現Agentforceコマース)を利用していましたが、地域ごとに異なる市場ニーズへの対応や、独自カスタマイズなどに課題を抱えていました。これらの課題を解決するため、Shopifyへ移行しました。
プラットフォーム移行後は、サイト表示速度が44%改善し、直帰率が14%低下、コンバージョン率は45%向上しました。
この事例からも、高速なeコマースプラットフォームへの移行は、サイト速度の改善だけでなく、ユーザー体験やビジネス成果の向上にもつながる可能性があることがわかります。
まとめ
ECサイトの表示速度は、ユーザーの離脱やコンバージョン率、購入体験を左右する重要な要素です。Googleが公開する実際のユーザーのサイト速度データをもとに比較した結果、Shopifyは今回の比較対象のなかで最も高いパフォーマンスを示し、最速のeコマースプラットフォームといえます。
ECサイトを選ぶ際は、機能や料金だけでなく、表示速度やサーバー性能、安定性も重要な比較ポイントです。高速な基盤を備えるShopifyは、優れたユーザー体験と安定した運営を両立したい事業者にとって、有力な選択肢です。
最速のeコマースプラットフォームに関するよくある質問
ECサイトの表示速度を確認する主な指標は?
ECサイトの表示速度やユーザー体験を確認する指標として、Googleが重視するCore Web Vitalsがあります。Core Web Vitals(コアウェブバイタルズ)は、次の3つの指標で構成されています。
- LCP(Largest Contentful Paint):読み込みパフォーマンスを示す指標
- INP(Interaction to Next Paint):操作に対する応答性を示す指標
- CLS(Cumulative Layout Shift):画面表示の安定性を示す指標
このほか、サーバーが最初のデータを返すまでの時間を示すTTFBや、文字や画像などの最初のコンテンツが表示されるまでの時間を示すFCPも、サイト速度を評価する際に役立ちます。
これらの指標は、GoogleのPageSpeed Insightsなどを使って確認できます。
ECサイトの表示速度の測定方法は?
Googleが提供するPageSpeed InsightsなどにURLを入力することで、サイト速度を測定できます。トップページだけでなく、商品ページやカートなど、主要なページも対象にしましょう。
このツールでは、実際のユーザー環境で収集されたデータと、テスト環境で測定されたデータを確認できます。また、パソコンとスマートフォンでは結果が異なるため、両方で測定することが重要です。
ECサイトの表示速度が遅くなる主な原因は?
ECサイトの表示速度には、eコマースプラットフォームやサーバーの基本性能に加え、サイトのデザインや機能、掲載するコンテンツなどが影響します。
具体的には、容量の大きな商品画像や動画、アプリやプラグインの増加、外部サービスのスクリプト、複雑なテーマなどが、読み込み速度低下の原因になります。また、アクセスが集中した際の処理能力が不足すると、ページが表示されにくくなることもあります。
サイトスピードの改善には、画像の圧縮や不要な機能の削除などが有効です。ただし、プラットフォームやサーバーの性能が原因の場合は、サイト側の調整だけでは十分に改善できないこともあります。




