自社ECサイトの認知拡大には、有料広告や口コミに加えてGoogle(グーグル)など検索エンジンでの露出を高めることが非常に重要です。検索結果(SERP)で上位に表示されるほど、広告などに頼らず自然とサイトへ流入してくるオーガニックトラフィックのユーザーが増えるため、多くのウェブサイトがその順位を上げるSEO対策を行っています。
Googleは膨大な検索データを基に、数百もの評価基準を組み合わせた複雑なアルゴリズムで検索順位を決定していますが、どのように機能しているのでしょうか。この記事では、Googleアルゴリズムとは何か、またその仕組みについて解説します。
Googleのアルゴリズムとは

Googleアルゴリズムとは、Googleが検索結果の表示順位を決定するために用いる仕組みや評価ルールのことです。
Googleアルゴリズムでは、検索されたキーワードに応じて、膨大な情報の中から最適なコンテンツをユーザーへ提示する仕組みになっています。検索順位は関連性や品質などの評価基準によって決まると言われており、その基準は常にアップデートされます。詳細までは公開されていませんが、Googleはウェブサイトの制作者向けに大まかな仕組みやガイドラインを発表しています。
自社のウェブサイトが公開されてから、検索結果として出るようになるまでには、Googleによって以下の3つのステップが行われる必要があります。
クロール:自動プログラム(クローラー)がウェブサイトを巡回し、ページ内のテキスト、画像、動画を取得する
インデックス:収集したコンテンツをGoogle内部のデータベースに登録し、検索に利用できる状態にする
ランキング:どのページをどの順位で表示するかを判断する
Googleのアルゴリズムに関係する5つの要素

1. 検索意図
Googleのアルゴリズムは、言語モデル(AIシステム) を用いて、ユーザーがどのような意図で検索キーワードを使用したのか推測します。検索意図を正確に捉えることで、ユーザーのニーズに最も適したページが表示される仕組みです。また、スペルや変換ミスの自動修正(例:「窓 帰る」→ 「窓 変える」に自動修正)、類似コンテンツと関連する同義語の適用も可能です。
このほか、ユーザーが好む言語やメディア形式(画像、動画など)を予測したり、ユーザーの所在地に近い店舗やサービスを表示したりする仕組みも盛り込まれています。さらに、検索語にトレンド性のあるキーワードが含まれている場合、Googleアルゴリズムでは、時事ニュースや速報性の高いページを上位に表示します。
2. 検索キーワードとの関連性
Googleは、ウェブページ内に検索キーワードが含まれているかどうかを確認し、関連性を判断します。検索キーワードとページ内の語句が一致していれば(特にタイトル、見出し、本文において)そのページはより関連性が高いと判断されて上位に表示されます。
また、アルゴリズムは機械学習システムで集計済みの匿名化されたユーザーの行動データを参照し、適切なページを予測します。ページの専門性、情報の質、ユーザーの所在地に対する距離など、検索意図に応じてそれぞれ重要度が調整されます。
3. コンテンツの品質
Googleのアルゴリズムは、関連性だけでなく品質テストをクリアした結果を優先して表示します。ここで言う「品質」とは、ユーザーにとってどれだけ有益であるかを指します。
品質の判断において重視されるのが、経験(Experience)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)の4つで、総称してE-E-A-Tと呼ばれます。例えば、人々から信頼される著名な専門家が権威あるサイトに寄稿した場合、そのページは高いE-E-A-Tスコアを得やすくなるということです。
4. ユーザビリティ
コンテンツの「検索意図」「検索キーワードとの関連性」「コンテンツの品質」の確認が完了されると、アルゴリズムはユーザビリティ(使いやすさ)の評価を行います。
コンテンツへスムーズにアクセスできるか、モバイルに最適化されているか、サイトスピード(ページの読み込み速度)に問題はないかが重要です。つまり、ユーザーが快適な体験ができるか否かが評価対象となります。
5. 背景情報
Googleアルゴリズムでは、ユーザー個人の直近の検索行動などを考慮し、検索結果の表示をその都度変化させています。この背景情報(コンテキスト)には、位置情報、検索履歴、検索設定(使用言語やセーフサーチの設定など)が含まれます。
例えば、東京在住のユーザーが「バスケットボール」と検索した場合、プロバスケットボールチームのアルバルク東京に関連する結果が表示される可能性が高くなります。また、スペイン語などの別言語で検索すれば、スペイン語の結果が優先されます。
Googleアルゴリズムでサイトのランク付けに影響する要素

1. 被リンク
被リンク(バックリンク)とは、信頼性の高い外部のウェブサイトが、自社のウェブサイトのページへリンクを設定することです。被リンクがある程度増えると、Googleアルゴリズムはそのページをより信頼できると判断し、検索順位を上げます。独自性の高い有用な記事などを発信するコンテンツマーケティングを行うことで、被リンクを設定してもらえる可能性が高まります。
2. 権威性
特定ジャンルで高い権威性を持つウェブサイトが、自社ページへの外部リンクを設定した場合、自社サイトは検索結果で上位に表示されやすくなります。例えば、権威あるサイトのブログ記事や、高品質な商品レビューに自社のウェブページへのリンクが掲載されるなどのケースです。
3. 情報の鮮度
Googleアルゴリズムは、更新されたばかりのページを優先的に評価する傾向があります。ただし、これは検索時のユーザー背景情報にも左右されるため、必ずしも最新記事が上位になるとは限りません。例えば、「磁気ストライプ」について調べているとして、コンテンツの質や権威性などの面で評価が高ければ、新しいページよりも古いページの方が上位に表示される可能性があります。そのためコンテンツの正確性を定期的に見直し、人気の高い記事は必要に応じて更新して、情報の鮮度を保つことが重要です。
4. キーワード
一般的に、インデックスされたページに関連キーワードが登場すればするほど、そのキーワードで検索上位に表示されやすくなると言われています。キーワードは本文だけでなく、ページタイトル(ブラウザタブに表示)やメタタイトルやメタディスクリプションにも使用するといいでしょう。
関連するキーワードの登場回数を増やすことでページの最適化が可能ですが、過剰に繰り返し過ぎる(キーワードスタッフィング) のは逆効果となる場合があります。自然な文章の中で無理なくキーワードを盛り込むことを心がけましょう。
5. ページエクスペリエンス
ページエクスペリエンスとは、ユーザーがWebサイトを訪れた際に、どれだけ快適に閲覧や操作ができるかを表すものです。Googleはユーザーエクスペリエンス(UX) を非常に重視しているため、アルゴリズムによってページの読み込み速度、サイトの使いやすさ、スマホなどのモバイルへの対応状況、ページ内容に適したメタタグの有無などがチェックされます。読み込みに時間がかかりすぎないよう、容量やサイズを調整する画像の最適化などを行うことも、重要なSEO対策のコツとなっています。
Googleアルゴリズムのコアアップデート

Googleは、過去複数に亘って検索順位を決めるアルゴリズムの変更を行っています。順位にあまり影響しない小規模の変更もありますが、平均して年間に2〜3回はコアアップデートと呼ばれる大規模なアルゴリズムの変更が行われ、Google検索セントラルでアナウンスされています。表示順位などが大きく影響を受けるアップデートには個別に名称がつけられることもあり、以下でその代表的なものを紹介します。
1. パンダ
2011年のパンダ・アップデートは、有益なコンテンツの選別を目的としています。重複コンテンツ、盗用、キーワードスタッフィングなどスパム的な内容を含むページの順位を下げる 仕組みです。2016年にはコアアルゴリズムへ統合されました。
2. ペンギン
2012年のペンギン・アップデートは、検索意図を適切に満たすページが優先的に評価されることを目的としています。被リンクを購入して取得する不正行為が横行したため、その排除のために実施されました。関連性のないページやスパムリンクの分析も行い、適正な手法で作られたコンテンツを優先する仕組みです。
3. ハミングバード
2013年のハミングバード・アップデートは、長い検索語句や会話調の質問の文脈を正確に把握し、ユーザーの意図に合ったページを表示することを目的としています。このアップデートにより、検索キーワードとページ内の語句が完全に一致していなくても、同義語や関連語を含め内容が検索意図と強く結びついている場合は、評価が上がるようになりました。
4. ピジョン
2014年のピジョン・アップデートは、英語圏で適用開始となったGoogleのローカル検索アルゴリズムです。これまでのGoogleマップでのローカル検索結果をより正確なものにすることを目的としたアップデートです。
5. モバイルファーストインデックス
2015年に登場したモバイルファーストインデックスは、PC版よりもモバイル版のサイトを優先してクロールする仕組みです。モバイルユーザーが増加する一方、従来ではPC版を中心にインデックスしていたため、スマホで検索した場合「検索結果には情報があるが、実際のスマホ版ページには記載がない」という不一致が発生していました。スマホ版の情報を優先してインデックスすることで、情報のミスマッチを解消することを目的としています。
6. 不適切なインタースティシャル
インタースティシャルとはWebサイトを表示した際に、コンテンツの全面または一部を覆うように表示される広告などのことを指します。2016年にこのような迷惑なポップアップ広告の問題を解消するため採用されました。すべてのインタースティシャルが不適切または検索順位に悪影響があると見なされた訳ではありませんが、特に画面が小さいモバイル端末ではユーザー体験を損なう悪質な表示が問題視されました。そのため、ユーザー体験を著しく妨げるとされたページについては、順位が低下する仕組みになっています。
まとめ
Googleなどの検索エンジンは、ユーザーに質の高い検索結果を提供するため、複雑な仕組みによって表示順位を決定しています。ビジネスにおいて、自社コンテンツを検索結果の上位に表示させるための取り組みは不可欠なものとなっていますが、単に情報量を増やせばいいというわけではありません。
日々、繰り返されるアップデートに対応するためにも、どうすればアルゴリズムによって質の高いサイトだと評価されるかを理解しておくことが大切です。ぜひこの記事を参考に、適切なSEO戦略に取り組んでみてください。
Googleアルゴリズムに関するよくある質問
アルゴリズムはどのくらいの頻度で更新される?
検索アルゴリズムは年間数千回更新されます。ほとんどの変更は公表されませんが、数ヶ月ごとに発生しているGoogleの重要な更新(コアアップデート)は告知が行われています。
ガイドラインに違反したウェブサイトはペナルティ対象?
Googleは不正に検索順位を操作しようとするウェブサイトに対して検索ランキングを下げる、またはインデックスから削除するなどの対策を行うことがあります。ガイドラインでは、検索エンジンのためのコンテンツではなく、ユーザーを第一に考えたコンテンツを作成するよう促しています。
Googleアルゴリズムのペナルティから回復するには?
Googleアルゴリズムによるペナルティからの回復には、即効性のある対策はないため、Google Search Console(サーチコンソール)でコンテンツの品質やガイドライン違反要素などの原因を特定し、対処する必要があります。
文:Miyuki Kakuishi





