女性起業家が利用できる助成金には、女性を対象とした制度だけでなく、創業や雇用、職場環境の整備などを対象とする制度もあります。2025年度の日本政策金融公庫「新規開業実態調査」では、開業者に占める女性の割合が25.7%と過去最高になりました。事業の立ち上げや成長に必要な資金を確保するためには、利用できる制度を幅広く確認することが大切です。
この記事では、2026年度に実施されている女性起業家向けの助成金を紹介します。対象者や利用条件、対象経費、申請方法、申請のポイントを整理し、助成金以外の資金調達方法も解説します。

女性起業家向け助成金の特徴
- 原則として返済不要: 融資とは異なり、原則として返済する必要はありません。ただし、支給条件を満たさない場合や不正受給があった場合などは、返還を求められることがあります。
- 株式の譲渡が不要: 投資家から出資を受ける場合とは異なり、助成金を受け取るために自社の株式を譲渡する必要はありません。
- 申請から受給まで時間がかかる場合がある: 申請後に審査や交付決定などの手続きがあるため、すぐに資金を受け取れるとは限りません。創業や店舗開業の予定に合わせて、申請期間や支給時期を確認しましょう。
- 女性限定とは限らない: 女性を対象とする制度だけでなく、性別を問わず創業者や中小企業を対象とする制度もあります。
対象者や申請条件
助成金は、制度ごとに対象者や対象経費、申請条件などが定められています。申請前に次の項目を確認しましょう。
- 対象者:個人事業主や法人など、申請の対象となる事業者
- 所在地:全国が対象か、都道府県や市区町村など地域が限定されているか
- 事業の段階:創業前か創業後か
- 雇用状況:従業員を雇用していることが条件になっているか
- 業種:対象となる業種や事業に制限があるか
- 対象経費:設備費、広告費、人件費など何に使えるか
- 申請期間:申請可能な時期や締切
女性起業家向け助成金8選
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No. |
制度名 |
主な対象 |
事業段階 |
助成額 |
主な用途 |
地域 |
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1 |
女性または39歳以下の若手男性等 |
創業・新規出店 |
最大844万円 |
店舗新装・改装、設備導入、広告宣伝、賃借料等 |
東京都 |
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2 |
創業予定者、創業5年未満の事業者等 |
創業前~創業後 |
最大400万円 |
賃借料、広告費、人件費等 |
東京都 |
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3 |
創業予定者、個人事業主、中小企業者等 |
創業・事業承継等 |
最大694万円 |
店舗改装、設備導入、広告宣伝、賃借料等 |
東京都 |
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4 |
中小企業者、個人事業主等 |
創業後 |
最大3,000万円 |
デジタル技術の導入、DX推進等 |
東京都 |
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5 |
従業員を雇用する事業者 |
創業後(雇用後) |
コースにより異なる |
正社員化、処遇改善 |
全国 |
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6 |
従業員を雇用する事業者 |
創業後(雇用後) |
コースにより異なる |
育児・介護、女性の健康課題との両立支援 |
全国 |
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7 |
従業員を雇用する事業者 |
創業後(雇用後) |
コースにより異なる |
従業員の訓練、人材育成、リスキリング等 |
全国 |
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8 |
自治体独自の女性起業家向け助成制度 |
自治体によって異なる |
創業前~創業後 |
制度により異なる |
創業、店舗開設、販路開拓等 |
地域限定 |
1. 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
都内商店街で店舗を新たに開業する女性や若手男性を支援する助成制度です。
対象条件の詳細
女性、または2027年3月31日時点で39歳以下の男性が対象です。2026年度は、新規開業に加え、既存店舗と同業種の2店舗目の開業や、商店街地域への移転開業(都内商店街からの移転を除く)なども対象となっています。新規開業の場合は、申請時点で実店舗を持っていないことなどの要件があります。
助成率・助成限度額
助成率は対象経費の4分の3以内で、助成限度額は最大844万円です。事業所整備費は最大400万円、店舗賃借料は1年目が月額15万円、2年目が月額12万円、3年目が月額10万円です。
対象経費
店舗の新装・改装工事費、設備・備品購入費、宣伝・広告費、店舗賃借料などが対象です。宣伝・広告費には、ホームページ制作費やチラシ作成費などが含まれます。
申請期間
2026年度は、第1回が4月23日〜5月14日、第2回が7月10日〜7月31日、第3回が10月9日〜10月30日です。各回とも申請書類の提出期限は最終日の17時です。
申請方法
原則として、国の電子申請システム「Jグランツ」から申請します。
2. 創業助成事業
都内で創業する人や創業初期の事業者を対象に、創業時に必要となるさまざまな経費を助成する制度です。
対象条件の詳細
都内で創業を具体的に計画している個人、または創業後5年未満の中小企業者などが対象です。申請には、東京都が指定する創業支援事業の利用や、代表者としての経営経験が通算5年未満であることなどの要件があります。
助成率・助成限度額
助成率は対象経費の3分の2以内で、助成限度額は100万円以上400万円以内です。
対象経費
賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権の出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費、市場調査・分析費などが対象です。助成対象期間は交付決定日から6か月以上、最長2年間です。
申請期間
2026年度は第1回が4月7日〜4月16日、第2回が9月29日〜10月8日です。例年、年2回募集されているため、募集要項で申請期間を確認しましょう。
申請方法
原則として、Jグランツから申請します。
3. 商店街起業・承継支援事業
都内商店街での新規開業や事業承継を支援する助成制度です。
対象条件の詳細
都内商店街で開業を予定している個人や個人事業主、中小企業者などが対象です。新規開業に加え、既存店舗を引き継いで事業を開始する場合も対象となります。
助成率・助成限度額
助成率は対象経費の3分の2以内で、助成限度額は最大694万円です。
対象経費
店舗の改装工事費、設備導入費、広告宣伝費、店舗賃借料などが対象です。なお、経費区分ごとに助成限度額や要件が定められています。
申請期間
2026年度は、第1回が4月23日〜5月14日、第2回が7月10日〜7月31日、第3回が10月9日〜10月30日です。
申請方法
必要書類を準備し、募集要項で定められた方法および期間内に申請します。
4. DX推進助成金
都内の中小企業がデジタル技術を導入し、業務効率化や生産性向上を図るための助成制度です。
対象条件の詳細
都内の中小企業者や個人事業主などが対象です。申請には、公社が実施するDX推進支援事業においてアドバイザーの支援を受け、デジタル技術の導入を検討していることなどの要件があります。
助成率・助成限度額
助成率や助成限度額はコースや事業者区分によって異なります。助成限度額は最大3,000万円です。
対象経費
機器やシステムの導入費、ソフトウェアの導入費、クラウドサービスの利用料などが対象です。
申請期間
2026年度第1回の申請期間は6月9日〜6月23日です。最新の募集状況は公式サイトで確認しましょう。
申請方法
原則として、Jグランツから申請します。
5. キャリアアップ助成金
非正規雇用の従業員の正社員化や処遇改善を支援する助成金です。
対象条件の詳細
雇用保険の適用事業所で、非正規雇用の従業員の正社員化や賃金の引き上げなどに取り組む事業者が対象です。なお、対象となる取り組みや要件はコースごとに異なります。
助成額
助成額は、選択するコースや取り組みの内容、対象従業員の条件などによって異なります。
対象となる取り組み
正社員化をはじめ、賃金規定の改定、賞与制度や退職金制度の導入、短時間労働者の労働時間の延長などが対象です。
申請期間
各コースの取り組みを実施する前日までに、キャリアアップ計画を提出する必要があります。支給申請の時期は、コースや取り組みの内容によって異なります。
申請方法
キャリアアップ計画を作成し、管轄の労働局へ提出します。その後、対象となる取り組みを実施し、所定の手続きに沿って支給申請を行います。
6. 両立支援等助成金
育児や介護と仕事の両立を支援する事業者向けの助成金です。
対象条件の詳細
従業員の育児や介護との両立を支援する事業者などが対象です。コースによって対象となる事業者や取り組み、要件が異なります。
助成額
助成額は、選択するコースや取り組みの内容などによって異なります。
対象となる取り組み
育児休業の取得や職場復帰の支援、育児休業中の業務を代替する体制の整備、介護離職防止、柔軟な働き方の導入、不妊治療や女性の健康課題に対応する両立支援制度の導入などが対象です。
申請期間
支給申請の時期は、コースや取り組みの内容によって異なります。取り組みを実施した後、各コースで定められた期限内に申請する必要があります。
申請方法
対象となる取り組みを実施し、必要書類を準備したうえで、管轄の労働局へ支給申請を行います。
7. 人材開発支援助成金
従業員の職業訓練や人材育成に取り組む事業者を支援する助成金です。
対象条件の詳細
雇用保険の適用事業所で、従業員に職業訓練などを実施する事業者が対象です。なお、対象となる訓練や要件はコースごとに異なります。
助成額
助成額は、選択するコースや訓練の内容、対象となる従業員などによって異なります。訓練にかかる経費や訓練期間中の賃金の一部などが助成されます。
対象となる取り組み
従業員の職業訓練やデジタル人材の育成、リスキリングなどが対象です。コースによっては、eラーニングや定額制の訓練も対象となります。
申請期間
訓練を実施する前に、コースごとに定められた計画届を提出する必要があります。支給申請の時期は、コースや訓練の内容によって異なります。
申請方法
コースごとに必要な計画届などを準備し、管轄の労働局へ提出します。その後、訓練を実施し、所定の手続きに沿って支給申請を行います。電子申請にも対応しています。
8. 自治体独自の女性起業家向け助成制度
自治体によっては、女性の創業や事業成長を支援する独自の助成制度を設けています。
対象条件の詳細
対象者や事業の段階、対象となる業種などは自治体によって異なります。女性の創業を対象とするもののほか、創業する人を対象とし、女性も利用できるものがあります。
助成額
助成額や助成率は制度によって異なります。
対象となる取り組み
創業時の店舗開設や設備導入、広告宣伝、販路開拓などが対象となる制度があります。対象となる経費は制度によって異なるため、募集要項を確認しましょう。
申請期間
申請期間は自治体や制度によって異なります。年度ごとに募集内容が変わる場合もあるため、最新の情報を確認することが大切です。
申請方法
自治体の公式サイトなどで対象となる制度を確認し、募集要項に沿って申請します。電子申請や郵送など、申請方法も制度によって異なります。
女性起業家向け助成金の探し方
都道府県や市区町村の制度を探す
自治体独自の制度を探す場合は、都道府県や市区町村の公式サイトで「創業」「起業」「女性活躍」「助成金」などのキーワードで検索しましょう。
たとえば、滋賀県草津市では「女性チャレンジ支援助成金」が実施されています。
制度によって対象者や申請時期、対象経費が異なるため、自分の事業が対象になるかを募集要項で確認しましょう。
商工会議所や商工会などの支援機関を確認する
商工会議所や商工会などの支援機関では、地域の事業者向けに助成金に関する情報を提供しています。制度によっては、申請に必要な書類の発行や、申請に関する相談を受けられる場合もあります。
たとえば、東京商工会議所では、2026年に創業予定者や創業後5年未満の人を対象とした「創業支援ワークショップ」を実施し、創業助成事業の申請に向けた支援を行っています。
自分で対象となる制度を探しても見つからない場合は、地域の商工会議所や商工会に相談し、利用できる助成金や支援について確認しましょう。

助成金の申請方法
- 利用できる制度を探す:自分の事業内容や所在地、創業時期などに合う制度を確認します。
- 募集要項で対象や条件を確認する:対象者や対象経費、申請期間、申請方法などを確認します。
- 必要書類を準備する:申請書や事業計画書、本人確認書類など、制度で定められた書類を準備します。
- 事業計画や申請書を作成する:事業内容や助成金を活用する目的、必要な経費などを整理して記載します。
- 期限までに申請する:電子申請や郵送など、制度で定められた方法で期限までに申請します。
- 交付決定などの通知を受けて事業を開始する:審査や確認がある制度では、交付決定などの通知を受けた後に事業を開始します。
- 実績報告や支給申請を行う:事業終了後、実績報告や必要書類の提出など、制度で定められた手続きを行い、助成金の支給を受けます。

助成金の申請書を書くときのポイント
- 事業で解決したい課題を明確にする:顧客や地域が抱えている課題を整理し、自社が解決したいことを具体的に示します。
- なぜこの事業に取り組むのかを説明する:事業に取り組む背景や目的を整理し、なぜ今取り組む必要があるのかを説明します。
- 助成金の使い道を具体的にする:何にいくら使うのか、事業のどの部分に必要な費用なのかを明確にします。
- 数字や根拠を示す:売上や顧客数、市場規模など、事業の見通しを裏付ける具体的な数字やデータを示します。
- 制度の目的と事業内容を合わせる:助成金の目的や対象となる取り組みを確認し、自社の事業との関連性を具体的に説明します。

助成金以外の資金調達方法
創業融資
創業時に必要な設備資金や運転資金を借り入れる方法です。たとえば、日本政策金融公庫では、これから事業を始める人や創業後間もない事業者を対象とした「新規開業・スタートアップ支援資金」などの融資制度があります。東京都では、女性や若者、シニアを対象とした「女性・若者・シニア創業サポート2.0」も利用できます。
創業時は実績が少なく、一般的な融資を受けにくい場合もあるため、創業者向けの融資制度を確認しましょう。
金融機関からの融資
銀行や信用金庫などから、事業に必要な資金を借り入れる方法です。店舗の開設や設備投資、仕入れをはじめとする運転資金など、まとまった資金が必要な場合に利用できます。
たとえば、信用保証協会の保証を利用して金融機関から融資を受ける方法があります。融資を受けるには、事業計画や返済計画などを示し、金融機関の審査を受ける必要があります。
出資
投資家やベンチャーキャピタルなどから出資を受ける資金調達方法です。融資とは異なり、原則として返済義務はありません。
事業の成長性を評価した投資家から出資を受け、店舗の拡大や新商品の開発などに必要な資金を調達するケースがあります。一方で、出資者に株式を渡す場合は、経営への関与や持株比率の低下などについて考慮する必要があります。
クラウドファンディング
インターネット上で事業や商品、サービスなどを紹介し、不特定多数の人から資金を集める方法です。新商品の開発や店舗の開業など、共感を集めやすい事業への資金調達に向いています。CAMPFIRE(キャンプファイヤー)やMakuake(マクアケ)、Kickstarter(キックスターター)などのプラットフォームがあります。
クラウドファンディングは、資金調達だけでなく、商品やサービスを知ってもらう機会にもなるため、創業前の顧客づくりや販路開拓につなげられる場合があります。
まとめ
女性起業家向け助成金には、創業や店舗開業、雇用、人材育成、仕事と家庭の両立などを支援する制度があります。女性を対象とした制度だけでなく、創業者や事業者を対象とした制度もあるため、自分の事業に合うものを探すことが大切です。
助成金を申請する際は、対象者や対象経費、申請期間などの条件を確認してから申請しましょう。助成金だけで必要な資金をまかなえない場合は、創業融資や金融機関からの融資、出資、クラウドファンディングなども含めて資金調達の方法を検討しましょう。
女性起業家向け助成金に関するよくある質問
Q1. 女性起業家向け助成金にはどのようなものがありますか?
女性起業家が利用できる助成金には、女性の創業や店舗開業を支援する制度のほか、雇用、人材育成、仕事と家庭、女性の健康課題との両立などを支援する制度があります。女性だけを対象とした制度に限らず、創業者や事業者を対象とした助成金も利用できる場合があります。
Q2. 個人事業主でも助成金を申請できますか?
多くの場合、申請が可能ですが、制度によって異なります。個人事業主を対象とする制度もあれば、法人や雇用保険の適用事業所など、一定の条件を設けている制度もあります。申請前に対象者の条件を確認しましょう。
Q3. 助成金は返済する必要がありますか?
助成金は、原則として返済する必要はありません。ただし、制度で定められた条件を満たさなかった場合や、不正な申請などがあった場合は返還を求められることがあります。制度ごとの支給条件を確認しましょう。
Q4. 助成金はどこで探せますか?
都道府県や市区町村などの自治体の公式サイトや、商工会議所、商工会などの支援機関で探せます。「女性活躍」「創業」「起業」「助成金」などのキーワードで検索し、自分の事業内容や所在地に合う制度を確認しましょう。




