実店舗だけでなくECサイト、海外販売、複数ブランドの展開を行う事業者では、販売チャネルごとの価格や在庫管理、カタログ管理が複雑化し、膨大な時間と人的リソースが必要になります。現状ではECサイトのみを運営している場合でも、今後のB2Bへの参入やシーズン需要に合わせたポップアップストアの実施を視野に入れている場合、複数店舗の一元管理システムの導入が不可欠です。Shopify(ショッピファイ)の複数店舗一元管理機能を導入すれば、これらの作業の効率化が実現します。
この記事では、店舗ごとに異なる運営を行いながら一元管理ができるShopifyの機能を紹介します。異なる地域や国の実店舗、ECサイトなど複数店舗の運営を一元管理し、業務の効率化を目指しましょう。

複数店舗を一元管理できるShopify Markets(ショッピファイマーケット)とは
Shopify Marketsとは、越境ECや複数店舗の運営にあたり、各店舗やサイトの言語や通貨、価格などを一元管理できるShopifyストアの機能です。店舗や地域をグループ化したものを「マーケット」と呼び、マーケットごとの設定ができます。複数店舗運営に際してストアを複製し、それぞれの管理画面から個別で商品管理や設定を行う必要がなくなるため、ランニングコストや人件費を抑えることが可能となります。

Shopifyでの複数店舗一元管理の活用例
1. 店舗をグループ化し異なる商品カタログを適用する
複数の店舗を運営している場合、店舗をグループ化して異なる商品カタログを適用することが可能です。例えば旗艦店とアウトレット店を複数運営するファッションブランドの場合、各グループへ個別にカタログを適用できます。旗艦店ではシーズン商品を定価販売し、アウトレット店ではシーズンオフ商品に絞って値下げ販売するといった運用が実現します。どちらもShopify上で同じカタログを利用し、店舗グループごとに条件を設定することで、異なる商品カタログを表示させることができます。
2. 実店舗独自の価格設定ができる
実店舗とECサイトを運営している場合、実店舗独自の価格設定を行うことが可能です。専門家によるアドバイスやコンサルティングなど、実店舗ならではの付加価値やサービス提供を反映した価格設定を適用することができます。一方で、これらのサービスを不要とする顧客は、ECサイト上で商品情報の詳細を確認し、サービス料が含まれない価格で商品を購入できます。このように、オンラインストアと実店舗それぞれの価格を設定することで、顧客ニーズに合わせた価格設定が実現します。
3. エリア限定のプロモーションを適用できる
販売エリアに合わせたプロモーションを適用することで、越境ECにおける一部の国やエリア、ポップアップストア限定の割引キャンペーンを実施できます。「新規オープンの旗艦店と周辺の店舗ではオープン記念割引を行う」「ポップアップストアでは初日限定の割引キャンペーンを行う」「特定の国でのみ会員ポイント2倍キャンペーンを実施する」といったことが、Shopify管理画面から設定できます。
4. 単一ストアのグローバル実店舗展開が可能となる
日本国内だけでなく、アメリカやカナダなど他国に店舗を持つブランドの場合、各国ごとにShopifyストアを用意する必要はなく、単一ストアからグローバル実店舗展開ができます。国ごとに現地法人やShopifyペイメントアカウントを設定することで、現地の銀行口座へ現地通貨での売上入金が可能です。顧客は普段使い慣れた通貨でいつも通りのショッピング体験ができ、現地スタッフへの負担も軽減できます。

Shopify Marketsの仕組み
Shopify Marketsは以下の2つの基本設定を中心に構成されています。
- 地域マーケット条件:広域的な地域条件を設定します。例えば「日本」「アメリカ」「カナダ」といった地域条件を設定すれば、該当する実店舗にはその地域のオンラインストアと同じ価格やカタログ、プロモーションが提供されます。
- 小売マーケット条件:より限定的な店舗グループに適用できる条件です。例えば「アウトレット店」「旗艦店」「ポップアップストア」といった指定ができます。一部店舗が地域条件と店舗条件の両方に属している場合、店舗条件の設定が優先される仕組みとなっています。これにより、例えば日本のポップアップストアは、同じ日本国内にあっても日本の旗艦店とは異なる価格設定を適用できます。

複数店舗の一元管理ができるShopifyのプラン
Shopify MarketsはShopifyストアに備わっている基本機能ですが、プランによって利用できる機能が異なります。。
- BasicとGrow:地域条件の設定が可能です。地域に合わせて価格や品揃え、プロモーションを適用できます。国ごとに、価格設定をオンラインストアと統一したい事業者に向いています。
- BasicとGrow(POS Pro利用時):上記に加えて店舗条件の追加が可能となります。実店舗とオンラインストアで異なる価格設定を行ったり、旗艦店とアウトレットで商品カタログを分けたりといったカスタマイズが可能です。特定店舗グループ限定での自動割引適用もでき、同じ管理画面から設定できます。
- Advanced:上記に加え、各マーケットに合わせたテーマやチェックアウト、アカウントページをカスタマイズすることができます。
- Plus:複数法人における販売機能や割引拡張機能が追加されます。国ごとに独立した法人とShopifyペイメントアカウントの設定ができるなど、事業をグローバル展開するブランド向けの機能が充実しています。
まとめ
ECサイトや実店舗、海外展開などさまざまな販売チャネルを活用している小売事業者にとって、Shopify Marketsの活用は業務円滑化やコスト削減、コア業務への集中といったメリットがあります。個別の管理画面から各店舗を管理するような複雑な作業は不要で、複数店舗を一元管理することでオムニチャネルマーケティングやユニファイドコマースも可能となります。
Shopify Marketsを使えば、国や地域ごとのマーケット設定に加え、限定的な店舗グループへの条件指定も可能となります。旗艦店やポップアップストア、アウトレット店など、店舗の種類に合わせて商品カタログや価格設定、割引率などを設定でき、ニーズに応じた柔軟な対応が実現します。
既に複数店舗を管理している方はもちろん、今後の海外展開や店舗拡大を視野に入れている方は、Shopifyの活用を検討してみてください。
Shopifyで複数店舗を一元管理する方法に関するよくある質問
拡張ストアとShopify Marketsの違いは?
拡張ストアは国や地域ごとに独立したストアを作成するのに対し、Shopify Marketsは異なる地域や国の実店舗やECサイトなどの運営を1つの管理画面から一元管理できます。
実店舗を運営する国ごとに法人が必要?
はい。通貨が同じであっても、実店舗を運営する国ごとに、法人とShopifyペイメントアカウントが必要になります。ポップアップストアも原則的には同様の仕組みですが、短期間の出店であれば現地の法律等で例外が認められるケースもあります。事業展開を目指す国の専門家に確認しましょう。
特定の実店舗のみに割引を適用することはできる?
POS Proを利用していれば可能です。特定の実店舗をグループ化して小売マーケットを作成し、そのマーケット限定で割引を設定できます。なお、複数店舗における「Xの購入でYをプレゼント」といった割引にもPOS Proが必要となります。




