Webパフォーマンスは、訪問者がコンバージョンに至るか離脱するかを左右する重要な要素です。もしサイトの表示が遅かったり、エラーが頻発したりすると、ユーザーの閲覧体験が低下し、SEO(検索エンジン最適化)や顧客維持率にも悪影響を与えてしまいます。
本記事では、Webパフォーマンスの定義と重要性、よくある問題と解決策、Webパフォーマンスの監視に役立つツールなどを紹介します。ECサイトの売上を技術面から改善したい企業は参考にしてください。

Webパフォーマンスとは
Webパフォーマンスとは、ウェブサイトがどれだけ速く、安定して動作するかを指します。たとえば、ページの読み込み速度、サーバーの応答時間、エラーの発生率などが含まれます。Webパフォーマンスはユーザー体験を左右するため、定期的に監視して改善していくことが大切です。
ECサイトにおけるWebパフォーマンス最適化の重要性
Webパフォーマンス最適化は、ECサイトの売上に直接左右するためとても重要です。たとえば、Deloitteの調査(英語)では、モバイルサイトの表示速度が0.1秒改善すると、小売サイトのコンバージョン率(CVR)が8.4%向上したと報告されています。
また、Portentの調査(英語)では、1秒以内に表示されるECサイトは、5秒かかるサイトと比較して2.5倍高いコンバージョン率を示すことが報告されています。
また、Googleなどの検索エンジンはサイトの表示速度やユーザー体験を評価指標に含めているため、Webパフォーマンスは検索順位にも影響します。パフォーマンスの低いサイトは検索結果で上位表示されにくくなり、オーガニックトラフィックの減少や顧客獲得の機会損失につながる可能性があります。

よくあるWebパフォーマンスの問題と解決策
ページの表示速度が遅い
サイトの表示速度が低下する主な原因は、ページ容量の大きさです。ページ容量が少なければユーザーに送信する情報量が減り、読み込みも速くなります。 なかでも容量を圧迫しやすいのは画像です。
表示速度が遅い場合は、以下のような解決策が有効です。
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FCP(First Contentful Paint)を優先する:FCPとは、ページの読み込みが始まってから最初のテキストや画像が画面に表示されるまでの時間です。FCPを最適化することで、訪問者に「読み込みが速い」と感じさせ、ページからの離脱を抑えられます。
Shopify(ショッピファイ)はFCPを優先しているため、他のプラットフォームと比べて1.8倍の速さでサイトが表示されるほか、93%のShopifyストアがサイト高速化を実現しています。 - 画像ファイルを最適化する:画像容量が大きくなる主な原因は、ファイル形式と解像度です。特に、高解像度のPNG画像は容量が大きくなりやすいです。画像のサイズや配置場所に応じて、100〜300kBを目安にファイルを圧縮しましょう。
- レスポンシブ画像を活用する:デバイスごとに適切なサイズの画像を出し分けることで、モバイルユーザーが不要に大きなファイルを読み込むのを防げます。たとえば、デスクトップ用に1280pxの画像を用意している場合、モバイル用には800px程度の画像を別途用意し、HTML(HyperText Markup Language)のsrcset属性などで自動的に切り替わるように設定しましょう。
- 遅延読み込み(Lazy loading)を導入する:遅延読み込みとは、すぐには必要でないページ内要素の読み込みを、必要になるまで後回しにする手法です。ページ上部(ファーストビュー)の要素はすべて即座に読み込み、下部の要素に遅延読み込みを適用するのが基本です。
非効率なコードや古いコードがある
パフォーマンスが低下しているサイトでは、コードの見直しも必要です。特に、肥大化したJavaScript(ジャバスクリプト)やCSS(Cascading Style Sheets)、古いカスタムコード、重いテーマファイルは、読み込み速度の低下やユーザー体験の悪化を招く典型的な要因です。
対策として、半年〜1年に1回の定期コードレビューを行いましょう。不要なHTMLファイルの特定と削除、冗長なJavaScriptやCSSの見直しと圧縮(ミニファイ)を行うことで、Webパフォーマンスを大きく改善できます。
サードパーティアプリの遅延や肥大化
サードパーティアプリの利用は、外部サーバーへのリクエストが発生するため、パフォーマンス低下の大きな原因になり得ます。たとえば、チャットウィジェットの読み込みや、ヒートマップ用コードの実行は、表示速度を遅くする可能性があります。
こうした問題を防ぐために、サードパーティアプリがWebパフォーマンスに与える影響を定期的に確認しましょう。Chrome DevTools(クロームデベロッパーツール)を使えば、問題のあるプラグインやウィジェットを特定できます。不要なものや重複しているものは削除しましょう。
残す必要があるコードについては、読み込みの遅延処理を検討するか、Google Tag Manager(タグマネージャー)などのタグ管理システムに統合することで影響を抑えられます。
サーバーの応答が遅い
複数の国でサービスを展開するウェブサイトでは、サーバーの設置場所によって地域ごとに表示速度の差が生じます。たとえば、サーバーが日本国内にのみ設置されている場合、海外からのアクセスでは国内に比べて表示速度が落ちることがあります。また、単一のサーバーにトラフィックが集中すると、応答が遅くなり、最悪の場合は完全にダウンする可能性もあります。
解決策として、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)の活用が効果的です。CDNは各国に分散したサーバーからコンテンツを配信するため、どの国からアクセスしても安定した表示速度を実現できます。加えて、アクセス集中期に備え、サーバーが高トラフィックに耐えられる構成かどうかも定期的に確認しましょう。
ShopifyではCDNを標準搭載しており、ユーザーに近い拠点からコンテンツを配信することで、すべてのストアが世界中の顧客に対して安定した表示速度を提供できます。
サーバーエラーの発生
サーバーエラーは、サイトのコードではなく、ホスティング環境側に原因があります。主な原因として、プロバイダの障害とDNS(ドメインネームシステム)エラーの2つが挙げられます。
DNSエラーが原因の場合は、DNS設定を見直してください。特に、プラットフォームの移行時やサブドメインを追加したタイミングで発生しやすくなります。プロバイダ障害が原因であれば、サーバープロバイダへ通知しましょう。対応はプロバイダ側で行う必要があります。自社運用サーバーで障害が起きた場合は、社内のITチームと対応を検討してください。

Webパフォーマンス監視・測定ツール10選
- Shopify(ショッピファイ)ウェブパフォーマンスレポート:読み込み速度、インタラクティブ性、視覚的安定性という3つのCore Web Vitals(コアウェブバイタル)を、実際のユーザーデータに基づいて継続的に評価します。アプリのインストールやテーマ更新による影響の確認や、デバイス別の分析も可能です。
- Google PageSpeed Insights(ページスピードインサイト):無料のウェブサイト表示速度テストサービスです。パフォーマンス改善のための具体的な案も提示します。
- Site24x7(サイトトゥエンティフォーバイセブン):SaaS(サース)型の監視サービスです。世界100カ所以上に設置された監視サーバーから、ウェブサイトの稼働状況と表示速度をチェックし、DNS応答やTTFB(最初の1バイトを受信するまでの時間)などの指標を可視化します。
- Datadog(データドッグ):リアルユーザー監視(RUM)機能により、実際のユーザー環境でのWebパフォーマンスをリアルタイムで分析できるクラウド型の監視プラットフォームです。
- Dynatrace(ダイナトレース):AI(人工知能)による自動分析機能を備えたクラウド型の監視プラットフォームです。ウェブサイトのフロントエンドからサーバーインフラまでを一元的に監視できます。
- Lighthouse(ライトハウス):Chrome DevToolsに搭載されている無料のWebパフォーマンス監視ツールです。ページの読み込み速度やアクセシビリティを測定し、改善のための具体的な提案を提示します。
- New Relic(ニューレリック):AIを搭載したクラウド型のオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームです。ウェブサイトの表示速度をリアルタイムで監視し、問題の特定とトラブルシューティングを支援します。
- Cloudflare(クラウドフレア):CDN、Webパフォーマンス最適化、セキュリティを提供するプラットフォームです。世界中のサーバーを通じてコンテンツ配信を高速化します。
- GTmetrix(ジーティーメトリックス、英語):ウェブサイトの表示速度を分析できるオンラインツールです。Lighthouseによるパフォーマンススコアの確認や、読み込み速度のボトルネック特定など、Webパフォーマンス改善に必要な分析機能を備えています。
- WebPageTest(ウェブページテスト、英語):世界中の拠点からWebパフォーマンスをテストできるオンラインツールです。ブラウザやデバイス、回線速度を細かく設定し、詳細なパフォーマンス分析が可能です。

Webパフォーマンス改善のコツ
1. ページ読み込み時間の最適化
ページが必要とするHTTPリクエスト数(ブラウザからサーバーへのデータ要求)を減らすことで、読み込み時間を短縮できます。サイトスピード改善の主な手段として、大きな画像やスクリプトの削減、ファイルの圧縮、CSSやJavaScriptのミニファイ、CDNの活用などがあります。
2. パフォーマンス指標の監視
表示速度、直帰率、コンバージョン率などの指標を継続的に追跡し、問題の早期発見と修正に取り組みましょう。指標の分析にはウェブ解析の手法が役立ちます。また、競合サイトと比較して自社サイトの立ち位置を把握するには、Webサイトのベンチマークが有効です。
3. 複数のブラウザやデバイスでのテスト
異なるブラウザやデバイスでサイトをテストすることで、表示速度やレンダリング(画面の描画処理)のばらつきを検出できます。特に、モバイル経由のアクセスがトラフィックの主流となった現在、モバイル環境での検証は欠かせません。
4. ウェブサイトのプラットフォーム移行
現在のプラットフォームで改善が頭打ちの場合は、より高速なプラットフォームへの移行も検討しましょう。ただし移行は大規模な取り組みであるため、コスト、スケジュール、リスクを慎重に考慮する必要があります。より高速なサーバーや、高機能なコンテンツ管理システム(CMS)への切り替えも選択肢のひとつです。
まとめ
Webパフォーマンスの最適化は、顧客のショッピング体験改善や、検索経由の流入とコンバージョンの向上に直結します。Shopifyのウェブパフォーマンスレポートなどのツールを活用すれば、問題の把握から改善効果の確認まで一貫して行えます。
まずは自社サイトのWebパフォーマンスを監視して現状を測定し、優先度の高い課題から改善を進めていきましょう。
Webパフォーマンスに関するよくある質問
Webパフォーマンスとは?
Webパフォーマンスとは、ページの読み込み速度、サーバーの応答時間、エラーの発生率など、ウェブサイトのシステム面での性能を総合的に示す指標です。
Webパフォーマンス監視とは?
Webパフォーマンス監視とは、表示速度やサーバー応答時間などの指標を定期的に追跡し、ウェブサイトの問題を早期に発見する取り組みです。
良好なWebパフォーマンスとは?
良好なWebパフォーマンスとは、ページが迅速に表示され、ユーザーがストレスなくサイトを閲覧し、操作できる状態を指します。
Webパフォーマンスはどのくらいの頻度で監視すべき?
週次または月次を目安に、表示速度、HTTPリクエスト数、サーバー応答時間などの指標を定期的に監視することが推奨されます。
WebパフォーマンスはSEOにどのような影響を与える?
検索エンジンはユーザー体験の優れたサイトを優先するため、表示速度をはじめとするWebパフォーマンスは検索順位に影響します。パフォーマンスの低下は検索順位の下落を招き、トラフィックとコンバージョンの減少につながる可能性があります。




