メールマーケティングの中でも、ニュースレターは単に商品を売り込むための施策ではなく、読者との関係を少しずつ育てていくための手段として活用されています。ブランドの考え方や背景、役立つ情報を継続的に届けることで、長期的な信頼やファンづくりにつなげられる点が特徴です。
この記事では、ニュースレターの基本的な考え方から、種類やメリット、読まれるためのコツ、作り方のステップ、成果を測るための指標などをまとめました。
ニュースレターとは

ニュースレターとは、企業やブランドが読者に向けて、定期的に送信するメールです。新商品やキャンペーンのお知らせに加え、ブランドの考え方や役立つノウハウ、舞台裏のストーリーなどを継続的に発信し、読者との関係性を深める役割を担います。
SNSや広告と異なり、ニュースレターは読者の受信ボックスに直接届くため、情報が流れにくく、読んでもらいやすいという特徴があります。そのため、短期的な販売促進だけでなく、長期的なファンづくりや顧客育成にも適しています。
Shopifyを利用している場合は、Shopifyメールを活用することで、専門的な知識がなくてもニュースレターを作成できます。
ニュースレターの種類

ニュース型
ニュース型は、企業やブランドからのお知らせや、最新情報を中心にまとめるニュースレターです。新商品やサービスのリリース、キャンペーン情報、イベント開催、メディア掲載などを簡潔に整理して伝えます。
公式な情報を定期的に発信したい場合に向いています。
キュレーション・トレンド型
キュレーション・トレンド型は、業界ニュースや注目トピック、外部メディアの記事などを選んで紹介するニュースレターです。自社の視点で情報を取捨選択することで、読者にとって価値のある情報源として認識されやすくなります。
ブランドの専門性や独自の視点を伝えたい場合に適しています。
記事・ブログ型
記事・ブログ型は、特定のテーマを深掘りしたコンテンツを中心に構成するニュースレターです。ノウハウ解説、コラム、インタビューなどを通して、ブランドの考え方や価値観を伝えます。
オウンドメディアやブログと連動させやすく、ファンづくりや理解促進につながりやすい点が特徴です。
ダイジェスト型
ダイジェスト型は、複数の更新情報やコンテンツを一覧でまとめて紹介するニュースレターです。「今月の更新まとめ」など、短時間で全体像を把握できる構成が特徴で、忙しい読者にも読みやすくなります。
定期配信との相性が良く、継続しやすい型といえます。
ニュースレターのメリット

ブランド構築につながる
ニュースレターは、企業の考え方、価値観、哲学などを一貫して伝えられるブランド構築のツールです。定期的な発信を通じて、「どんな姿勢で事業を行っているのか」「どんなブランドなのか」を、自然に印象づけることができます。
SNSでは伝えきれない背景や文脈を共有できるため、ブランドイメージの定着や競合との差別化にもつながります。
顧客と直接コミュニケーションが取れる
ニュースレターは、読者と直接つながれる数少ないチャネルのひとつです。SNSや広告と異なり、受信ボックスに届くため、落ち着いて読まれやすく、メッセージを丁寧に届けることができます。
役立つ情報やブランドの考え方を継続的に発信し、「信頼できる」「読み続けたい」と感じてもらえれば、ブランドへの親近感や安心感につながります。
購買行動につなげやすい
ニュースレターは、見込み顧客や既存顧客の関心に合わせて情報を届け、購買やサービス利用といった行動につなげやすい施策です。定期的なメール配信を通じて関係性を深めながら、自然な流れで次のアクションを促せます。
登録者限定のクーポンや特典、先行案内などを活用することで、「今買う理由」をつくりやすくなります。
他チャネルへの接点を広げられる
ニュースレターは、自社サイトやSNSなど、他のチャネルへ読者をつなぐ「起点」としても活用できます。本文内にCTA(コール・トゥ・アクション)を設けることで、ブログ記事の閲覧や商品ページへの訪問など、次のアクションを自然に促せます。
ニュースレターを軸に複数のチャネルを連携させることで、マーケティング全体の導線を設計しやすくなります。
読まれるニュースレター作成のコツ5つ

1. 内容が気になるキャッチーな件名をつける
ニュースレターの第一関門は「開封されるかどうか」です。その決め手となるのが「件名」です。何が書かれているのかがパッとわかり、読み手の好奇心をくすぐるような件名を意識しましょう。
抽象的すぎる表現や長すぎる文章は避け、月ごとのテーマやメリットを簡潔に伝えることが大切です。少し工夫するだけでも、開封率は大きく変わります。
2. プレヘッダーで続きを読む理由をつくる
プレヘッダーとは、件名の下に表示される短い補足文のことです。件名だけでは伝えきれない内容や、本文を読むメリットを補足する役割があります。
件名と同じ内容を繰り返すのではなく、「このニュースレターで何がわかるのか」「どんな情報が含まれているのか」を伝えることで、開封後に読み進めてもらいやすくなります。
3. 読みやすいデザインにする
ニュースレターは、文章だけでなく見た目も重要です。文字が詰まりすぎていたり、情報量が多すぎたりすると、それだけで離脱につながってしまいます。
適度な余白、見出しの使い分け、リンクやボタンの配置などを工夫し、スマートフォンでも読みやすい構成を意識しましょう。ブランドの雰囲気に合ったデザインを保つと、安心感にもつながります。
4. 読者に関連性のある内容を届ける
読まれるニュースレターに共通しているのは、「自分に関係がある」と感じてもらえる内容であることです。発信したい情報を詰め込むのではなく、読者が知りたいことや役立つことを軸に構成することが重要です。
たとえば、ECのニュースレターでは、商品の使い方やおすすめの組み合わせ、季節やシーンに合わせた活用例などを紹介すると、商品への理解が深まり、購買意欲の後押しにつながります。また、人気商品の再入荷情報や、よくある質問への回答をまとめるのも、ECならではの有効なコンテンツです。
配信目的や読者像を意識しながら内容を取捨選択することで、「毎回読みたい」と思ってもらえるニュースレターになっていきます。
5. CTAを設ける
ニュースレターは、読むだけで終わらせず、次の行動につなげる設計も欠かせません。記事を読んだあとに何をしてほしいのかを明確にし、ボタンやリンクなどのCTAを設けましょう。
ブログ記事へのリンク、商品ページの案内、SNSのフォローなど、ひとつで構わないので明確な行動導線を用意することがポイントです。
ニュースレターの作り方:5つのステップ

1. ターゲットを明確にする
まず、誰に向けたニュースレターなのかを、明確にします。
- 初めて購入を検討している人
- すでに購入経験がある人
- 特定の商品カテゴリに関心がある人
- まだ購入には至っていないがブランド自体に興味がある人
など、想定読者を絞ることで、内容のブレを防ぐことができます。
2. 内容を決める
ターゲットにあわせて、ニュースレターをどんな種類のものにするか、どのような内容を書くかを決めます。たとえば以下のようなコンテンツが考えられます。
- ブランドの裏にある哲学
- 商品開発の裏話
- 社員紹介
- トレンドや時事ネタ
- 季節に合わせた商品活用例
- 再入荷・人気商品の紹介
- FAQ
すべてを詰め込むのではなく、1通につき1つのテーマに絞ると読みやすくなります。
3. ニュースレターのデザインを選択する
次に、ニュースレターの見た目やレイアウトを決めます。配信ツールに用意されているメルマガのテンプレートを選び、利用すると楽です。
毎回デザインを大きく変える必要はありません。文字量は多すぎないか、ボタンやリンクは押しやすいかといった点を意識しましょう。
4. 件名・プレヘッダー・本文を作成する
構成が決まったら、具体的な文章を作成します。
特に、件名とプレヘッダーは開封率に直結する要素なので、最後に調整するのもおすすめです。本文では、情報を詰め込みすぎず、ひとつのテーマをシンプルに伝えることを意識しましょう。見出し、本文、CTAという基本構成を意識すると、読みやすくなります。
5. 送信・測定・改善を行う
ニュースレターは、送信して終わりではありません。配信後は、開封率やクリック率などを確認し、結果をもとに改善を重ねていきます。
件名は適切だったか、コンテンツは読者に合っていたか、CTAは分かりやすかったかといった点を振り返りながら、改善を重ねていくことでニュースレターの精度が高まっていきます。
ニュースレターの成果を分析するための5つの指標(KPI)

1. 登録者数の増減
リスト成長率は、一定期間内にニュースレターの登録者がどれくらい増減したかを示す指標です。
新規登録者数から登録解除数を差し引いた「純増数」をもとに判断します。月刊ニュースレターの場合は、四半期や年単位での変化を見るのがおすすめです。登録者が増えていれば、ニュースレター自体の価値や登録導線が機能していると考えられます。一方で減少が続く場合は、内容や頻度を見直すサインになります。
2. 開封率
開封率は、配信したニュースレターがどれくらい開封されたかを示す指標です。主に 件名・プレヘッダー・配信タイミング が影響します。
開封率は単体の数値よりも、前回の配信や過去のニュースレターと比較することが重要です。件名の表現や送信時間を変えたときにどう変化したかを見ることで、読者に響く要素を把握できます。
3. クリック率
クリック率は、ニュースレター内に設置したリンクやボタンが、どれくらいクリックされたかを示す指標です。
クリック率を見ることで、ニュースレターの内容が実際の行動につながっているかを判断できます。ECのニュースレターでは、どの商品リンクが多くクリックされたかを確認することで、関心の高い商品やテーマを把握することも可能です。
4. 登録解除率
登録解除率は、ニュースレターの配信後に登録を解除した人の割合を示す指標です。
この数値は、読者がそのニュースレターを「価値がある」と感じたかどうかを判断する材料になります。
解除率が高い場合は、売り込みが多すぎて嫌がられていないか、内容や配信頻度が読者の期待と合っているかなどを、再検討する必要があります。
5. コンバージョン率
コンバージョン率は、ニュースレター経由で商品購入や申し込みなどの成果につながった割合を示す指標です。ニュースレターが、読者を顧客へとつなげられているかを判断する、重要な指標のひとつです。
ECでは、ニュースレター専用のクーポンコードを設定することで、購入との関連を把握しやすくなります。完璧な数値を求めるよりも、「どの内容が購入につながったか」という傾向を見ることが大切です。
まとめ
ニュースレターは、短期的な成果を追う施策ではなく、読者との関係性を積み重ねていくためのコミュニケーション手段です。ブランドの考え方や価値を伝えながら、信頼を育て、行動につなげていく役割を担います。
重要なのは、最初から完璧を目指さないことです。ニュースレターは、1通で成果を出すものではありません。最初から完璧を目指すよりも、定期的に配信し、測定と改善を繰り返すことが成功の近道です。
これからニュースレターを始める場合は、まずは小さく始めてみることがおすすめです。すでに配信している場合も、内容や構成、KPIの見直しを行うことで、新たな気づきが得られるはずです。
よくある質問
ニュースレターとメルマガの違いは?
明確な定義はありませんが、一般的にメルマガはキャンペーンや告知が中心になりやすく、ニュースレターは情報提供や関係構築を重視する傾向があります。目的に応じて使い分けると効果的です。
ニュースレターの効果を測定するための指標は?
- 登録者数の増減
- 開封率
- クリック率
- 登録解除率
- コンバージョン率
SNSとニュースレターの違いは?
SNSは拡散力がある一方で、タイムラインがどんどん更新されるため、投稿が目に触れる前に流されてしまいやすいという特徴があります。ニュースレターは、登録してもらうまでのハードルがありますが、読者の受信ボックスに直接届くため、情報が埋もれにくく、継続的な接点を持ち続けられるのが特徴です。
SNSでまず認知を広げ、ニュースレターで関係性を深めるなど、目的に応じて使い分けることで、より効果的な情報発信ができます。
文:Taeko Adachi





