Google広告のリマーケティングは、見込み顧客に再アプローチし、成果につなげるために欠かせない施策の一つです。効果的に運用するには、リマーケティングの基本的な仕組みを理解し、ユーザー行動に基づいたセグメント設計や適切なタグ配置が鍵となります。
本記事では、2026年時点の最新仕様に基づき、Google広告リマーケティングの具体的な設定手順を分かりやすく解説します。初めての方でもスムーズに進められるよう、ポイントを押さえて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

リマーケティングとは
リマーケティングとは、自社サイトやアプリに一度訪れたユーザーに対して、再度広告を配信するマーケティング手法のことです。すでに商品やサービスに関心を持っている可能性が高いユーザーへアプローチできるため、新規顧客への広告配信と比べて成果につながりやすい点が特徴です。
たとえば、商品ページを閲覧したものの購入に至らなかったユーザーに対し、別のサイトやアプリ上で広告を表示することで、再訪問や購入を促進できます。効率よくコンバージョンを高めたい企業にとって重要な施策の一つです。
なお、Google広告ではリマーケティングという名称が使われていますが、Facebook広告など媒体によってはリターゲティングと呼ばれており、仕組み自体に違いはありません。

リマーケティング広告の仕組み
リマーケティング広告は、自社サイトに設置したリマーケティングタグとCookieを使って、過去に訪問があったユーザーに広告を配信する仕組みです。
- リマーケティングタグ:訪問ページや滞在時間、特定のアクション(購入・問い合わせなど)といった情報を記録するためのコード
- Cookie:ユーザーを識別するためにブラウザに一時的に保存される訪問履歴データ
自社サイトにリマーケティングタグを設置すると、ユーザーがサイトを訪問した際にCookieが付与されます。このCookieを基に「特定のページを閲覧したユーザー」や「カートに商品を追加したが購入していないユーザー」など、行動履歴に応じてユーザーがリスト化され、他サイトを訪問中にも興味関心や検討段階に応じて広告が配信されます。

Google広告リマーケティングの種類
- 標準リマーケティング:ウェブサイトを訪問したことがあるユーザーが他サイトやアプリを閲覧しているときに広告を配信する手法
- 動的リマーケティング:ウェブサイトを訪問したことがあるユーザーを対象に、サイトの閲覧履歴や購入履歴などのユーザー情報に合わせて、関連性の高い商品・サービスの広告を配信する手法。コンバージョンにつながる可能性の高いユーザーに効率的にアプローチできる
- 検索広告向けリマーケティング(RLSA):訪問履歴のあるユーザーを対象に、検索行動に連動して広告を表示する手法。比較検討中のユーザーの購買を後押しできる
- 動画リマーケティング:YouTubeなどの動画プラットフォームで自社動画を視聴したことがあるユーザーに動画広告を配信する手法。視覚と音声で訴求できるため、ブランド認知の向上や購買意欲の喚起に効果的
- 顧客リストを活用したリマーケティング:自社で所有する顧客リストをGoogle広告にアップロードし、ユーザーがGoogleのサービスを利用しているときに広告を配信する手法。アップセル・クロスセル施策や休眠顧客への再アプローチに活用できる

Google広告リマーケティングのメリット
ターゲットを絞って広告を配信できる
Google広告のリマーケティングでは、ユーザーの行動履歴に応じてセグメントを分けて広告を配信できます。たとえば、カゴ落ちしてしまったユーザーや商品ページを閲覧したユーザーをリスト化して配信できます。また、「購入まで至ったユーザーは除外」といった設定も可能です。
ユーザーの行動や興味関心に応じて広告が配信できるため、費用対効果の高い広告運用が実現できるのがメリットです。
コンバージョン率の向上が期待できる
過去に接点のあるユーザーに再アプローチできるため、コンバージョンにつなげやすい特徴があります。商品やサービスへの関心が高い層に、行動履歴に基づいて広告を配信できるため、購入意欲を高めることができ、新規顧客の獲得や既存顧客のLTVの向上が図れます。
顧客獲得単価を抑えられる
購入獲得単価(CPA)を抑えて広告運用できるのも、Google広告のリマーケティングのメリットです。サイト訪問や購入など接点のあるユーザーに広告配信をすることで、新規ユーザーと比べてコンバージョンにつながりやすくなります。その結果、コンバージョン1件あたりに発生するコストを抑えられ、効率的な広告運用が可能になります。

Google広告リマーケティングの注意点
オーディエンスリスト数が十分でない場合、広告配信ができない
Google広告のリマーケティングでは、オーディエンスリストが最低数に達しないと広告配信できません。そのため、アクセス数が少ないサイトではリマーケティング施策が難しくなるケースもあります。SEOマーケティングなどを実施し、トラフィックを安定的に確保することが重要です。
不快感や広告疲れを招く恐れがある
繰り返し広告が表示されることで、しつこい印象がユーザーに残り、嫌悪感を与えてしまう可能性があります。表示回数をあらかじめ設定できるフリークエンシーキャップを活用したり、不必要な広告表示を避けるために対象ユーザーを絞ったりするなど、ユーザーが不快に感じない範囲での広告運用を心がけましょう。
Cookie規制により、ターゲティング精度が低下する可能性がある
Cookieの規制強化の流れを受け、ユーザー行動の追跡・取得が制限され、精度の高いターゲティングが難しくなる恐れがあります。そのため、自社で取得した顧客データを活用したり、ユーザー行動ではなく閲覧中のコンテンツを基にしたターゲティングを採用したりするなど、Cookieに依存しない手法を取り入れる必要があります。

Google広告リマーケティングを活用する際のコツ
オーディエンスリストを細分化する
Googleリマーケティング広告の効果を最大化するには、行動パターンや興味関心を基にオーディエンスを分類しておくことが重要です。オーディエンスリストごとに配信内容を決めることで、コンバージョン率の向上につなげられます。
オーディエンスリストを分類する際は、ユーザーがどのページに訪問したかを参考にするといいでしょう。たとえば、商品説明ページに訪問したユーザーとカートページで離脱したユーザーをそれぞれリストに分類します。商品ページを閲覧したユーザーには閲覧商品の魅力が伝わる広告を、カゴ落ちしたユーザーには送料無料や割引などの特典付き広告を配信することで、購入につながる可能性が高まります。
このように訪問ページごとに分類することで、ユーザーの関心度や購入意欲に合わせた広告配信が可能になります。
コンバージョンの見込みによって入札を調整する
コンバージョンにつながる可能性を基に入札額を調整すると、確度の高い見込み客に効果的にアピールできます。たとえば、トップページで離脱したユーザーよりもカートページまで進んだユーザーの方が購入意欲は高いと判断できます。コンバージョン率やLTVの向上につながるオーディエンスリストへの入札を強化することで、無駄のない広告運営が実現できます。
ほかの施策も並行して実施する
オーディエンスの母数を増やすための施策と組み合わせるとリーチ拡大につながり、リマーケティング効果の最大化に効果的です。Google広告のリマーケティングは、接点のあるユーザーのみを対象とするため、リーチできるユーザー数に限りがあります。そのため、対象となるオーディエンスの数を増やす必要があります。
次のような施策も並行して実施することで、リマーケティング広告配信の対象者を増やし、広告成果の向上が期待できます。
- SEO対策を強化してオーガニック検索からの流入を増やす
- SNS運用やコンテンツマーケティングで認知獲得を図る
- リスティング広告やディスプレイ広告を活用して新規顧客の獲得につなげる
Google広告のリマーケティングキャンペーンの実施方法
1. Googleタグマネージャーでアカウントを設定する
リマーケティングタグの設定・管理は、Googleタグマネージャーを使用すると便利です。まずは以下の手順でアカウントを作成しましょう。
- Googleタグマネージャーにアクセスし「アカウントを作成」をクリックする
- アカウント名とコンテナ名を設定する ※コンテナとは特定のウェブサイトやアプリの設定を管理する箱
- ターゲットプラットフォームを選択して、「作成」をクリックする

2. GTMタグを設置する
Googleタグマネージャーでアカウントを作成すると、GTMタグが発行されます。GTMタグとは、ウェブサイト上に貼り付けることで、Google広告タグなどの各種タグを管理画面で一元管理できる仕組みです。
Googleタグマネージャーの上部に表示されている「GTM-」から始まる数字がタグです。タグをクリックすると下記のようなコードが表示されるので、ウェブサイトの全ページに貼り付けます。

3. Google広告タグを設定する
次にリマーケティングタグを設定します。手順は以下の通りです。
- Googleタグマネージャーの左側にある「タグ」をクリックする
- 「新規」→「タグの設定」→「Google 広告」→「Google 広告のリマーケティング」を選択する

- コンバージョンIDを入力する(取得方法は以下参照)
- 「トリガー」で「All Pages」を選択する
- 「保存」→「公開」をクリックする
コンバージョンIDは次の手順で取得できます。
- Google広告にアクセスし、左側にある「目標」をクリックする
- 「コンバージョン」の下にある「概要」をクリックする
- トラッキングするコンバージョンアクションを選択する
- 「タグを設定する」を展開し、「Google タグ マネージャーを使用する」をクリックする
- コンバージョンIDをコピーする

4. オーディエンスセグメントを作成する
Googleタグが設定できたら、次にオーディエンスセグメントを作成します。
- Google広告で「ツール」→「共有ライブラリ」→「オーディエンス マネージャー」をクリックする
- 「+」をクリックし、「ウェブサイトを訪れたユーザー」を選択する

- 必要項目を入力し「セグメントを作成」をクリックする

たとえば「カートページ訪問者」や「商品詳細ページ閲覧者」など、ユーザーの行動ごとにリストを分けることで、より精度の高い広告配信が可能になります。
5. キャンペーンを作成しリストを適用する
最後にリマーケティングキャンペーンを作成し、オーディエンスセグメントと紐づけます。
- Google広告のホームにアクセスし「新しいキャンペーン」をクリックします。
- キャンペーン目標やキャンペーンタイプなど、必要事項を設定してキャンペーンを完成させます

- 「ツール」→「オーディエンス マネージャー」をクリックする
- 作成したオーディエンスセグメントを開いて、縦三点リーダーをクリックする
- 「次に追加」→「広告グループ」または「キャンペーン」を選択する

- オーディエンスセグメントを利用したい広告グループまたはキャンペーンをクリックする
- ターゲティング設定を行い、「オーディエンスセグメントを追加」をクリックする
まとめ
Google広告のリマーケティングは、過去に接点のあるユーザーへ効率よく再アプローチするため、成果につながりやすい施策です。適切にタグを設置しデータセグメントを設計するほか、十分なトラフィックを確保できるウェブサイトに育てることも、リマーケティング広告の運用では重要です。
また、近年のプライバシー保護強化の流れを受け、Cookieに依存しない手法でのターゲティングに注力することも求められます。自社で保有するデータを活用したり、ユーザーが閲覧しているコンテンツを基にターゲティングしたりするなど、環境変化に応じた対策を講じることが、リマーケティングの効果を維持・向上させる鍵となります。
リマーケティングに関するよくある質問
リマーケティングとリターゲティングの違いは?
リマーケティングとリターゲティングの違いは、主に使用される媒体です。Google広告ではリマーケティングという名称が使われていますが、Facebook広告などではリターゲティングと呼ばれています。なお、仕組み自体に違いはありません。
リマーケティング広告の費用はどのように決まる?
費用は業界やターゲットによって異なりますが、クリック課金(CPC)が一般的です。リマーケティングは興味関心の高いユーザーに配信されるため、通常の広告よりもクリック率やコンバージョン率が高く、結果的に費用対効果が良くなる傾向があります。
リマーケティングがうまくいかない原因は?
主な原因として、リストの母数不足、セグメント設計の不備、クリエイティブの質の低さなどが挙げられます。また、配信頻度が高すぎるとユーザーに不快感を与える可能性もあるため、フリークエンシー設定も重要です。
リマーケティング広告を運用するうえで注意すべきことは?
- オーディエンスリスト数が十分でない場合、広告配信ができない
- 不快感や広告疲れを招く恐れがある
- Cookie規制によりターゲティング精度が低下する可能性がある
ECサイトではどのリマーケティング広告を活用すべき?
EC事業者の場合、標準リマーケティングに加えて動的リマーケティングを活用しましょう。特定の商品ページを閲覧したユーザーに、その商品や関連商品の広告を表示することができ、購入行動を後押しできます。
文:Takumi Kitajima





